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(1)基本的な考え方(2)導入訓練 し、併せて適応支援(個別面接やグループワークを中心とした社会生活指導及び就労支援)を実施している。 一方、職域開発科以外の一般訓練科(既存科)では従来からの訓練職種に応じた技能訓練を中心において、訓練継続をサポートする役割として適宜適応支援を組み入れている。このため一定の配慮を行えば技能付与ができる訓練生を対象としている点が職域開発科と異なる。 これまで精神障害者・高次脳機能障害者は入所選考時の職業評価を受検する段階で職域開発科と一般訓練科(既存科)の二者択一をせざるを得なかったことから、適応面にはそれほど問題がない者でも、作業能力が低い場合は、限られた適性情報の中で職域開発科のコースを選ばざるを得ないという状況にあった。一方、職域開発科で適応課題を解決すべきことが適当と判断される者がこれを自覚できずに一般訓練科(既存科)を希望することに固執し、入所後に適応面の問題から不適応を生じ体調を崩したり、中途退所に至る者も多かった。 職リハセンターでは精神障害者・高次脳機能障害者、発達障害者等の「職業訓練上特別な支援を要する障害者」の積極的受け入れを契機として、一般訓練科(既存科)においてもより柔軟な訓練ができる新たな訓練コースを設けるなど受け入れ環境を整備するとともに、障害者職業総合センター(千葉市美浜区)において開発されたトータルパッケージ(ワークサンプル幕張版)を活用した訓練科決定機能を持つ新たな導入訓練の取り組みを開始した。この新たな導入訓練においては、これまでのIT訓練中心の内容からトータルパッケージを通じて障害特性を把握し、自己認識を促進することとし、個々の障害特性に応じた補完方法やストレス・疲労のセルフマネージメント等の検討、各訓練科体験の中でそれらの確認や活用を行ったり、具体的な作業への適性を確認した上で、これらの結果を踏まえた適切な訓練科の選定に結びつけるものへと変更した。 入所後、精神障害者・高次脳機能障害者、発達障害者については、職域開発科(導入訓練コース)の所属となる。導入訓練及び本訓練により1年間の職業訓練を構成し、訓練期間全般を通じて適応支援を実施している。 導入訓練ではトータルパッケージを活用しながら、職業訓練受講への適応可能性を向上させ、本訓練へのスムーズな移行を図れるよう①個々の障害特性を把握し、②自己認識を促進するとともに、③個々の障害特性に応じた補完方法やストレス・疲労のセルフマネージメント等の検討を行い、それらの活用に向けた支援策を確立すること、また、各訓練コースの体験を通して④本訓練の訓練コースを決定するシステムへと移行した。これにより本人に適切な(納得性の高い)訓練科を探索して、職業訓練(本訓練)へのスムーズな適応及び指導、支援効果の一層の向上を目指している。技能と技術 4/2011−10−

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