3/2011
22/49

図1 カリキュラムの体系 長引く景気低迷に加え、生産拠点の海外シフトなどにより、県内製造業は疲弊している状況にある。自動車・半導体産業集積を機とした製造業の復興が期待される中、その担い手となる産業人材の育成が求められている。特にも少子高齢化による担い手の絶対的な不足や、団塊世代の大量退職による技術・技能継承の危機、さらには、継続的に雇用されうるエンプロイアビリティの向上などが課題として挙げられる。そこで、産業界、教育界、行政それぞれが共通の目標を持って連携しあいながら、若年人材を含め、技術・技能者などの産業人材の育成について、積極的に取り組むことが期待されている。 このような状況から、平成19年4月に産業技術専攻科生産システム技術コース(以下専攻科)を開設した。 専攻科は1年制であり、定員は10名である。学生は、短大課程等からの進学生と、県内企業からの派遣生で構成されている。 カリキュラムは図1に示すように、機械・電気電子・情報分野の総合的な基礎知識と、機構設計・PLC、生産ネットワーク制御などの基礎技術について講義・実習を行うことを基本とし、2本の柱から構成されている。 1つ目の柱は、生産現場が実際に抱える生産工程の過程で生じる課題を企業から聴き取り、個人ごとに研究テーマとして設定し、それぞれの課題解決や課題達成に向けた生産現場における改善力、新分野開発に向けての実践力を養う「オーダーメイドカリキュラム」である。企業との連携による共同人材育成として、課題解決、課題達成に向けた生産現場力を修得するものである。 2つ目の柱は、生産システムの効率化や厳しい品質要求へ対応していくための「品質保証技術・生産管理」である。 図2には専攻科が目指すベクトルを示す。 これまでの本県における工業系教育機関は大学工学部などの工学的研究ベクトルと、本校のようなモノづくり技能ベクトルが主であったが、専攻科ではここにIE、QC、VE、SEの手法による「品質保証技術・生産管理ベクトル」を加えている。1.はじめに2.専攻科のカリキュラムについて技能と技術 3/2011−20−岩手県立産業技術短期大学校 産業技術専攻科 本間義章TCS代表 吉見登司一― 品質保証技術(5源主義手法)を活用した人材育成 ―産学連携によるオーダーメイドカリキュラムについて

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る