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151514141919図4 完了前図5 完了後図6 加熱後の組み込みのシート技能伝承の取り組みについて①6.3 カン・コツを表現し、教材に変える 研修の中で受講者には図4のように、作業手順以外のカン・コツ、動画、留意事項はブランクとしたものを渡している。手順がすでに記載されていることで一般的な手順書作りではないことはっきりとさせている。その後、映像を見ながらカン・コツをインタビューから導き出し、図5のような教材に仕上げるようにしている。メータとダイヤルゲージを見て、外れないかの確認をすることがひとつのポイントではないか。経験の浅い作業者はダイヤルゲージの目盛に気を取られ、マイクロメータを見ていないから外れやすいと言える。なぜ、なぜと疑問に感じることは遠慮なく聞く、ベテランのちょっとした動作の中にある意味を探って行くことがインタビューのコツでもある。 図5の写真は教材では動画あり、出来上がった教材の使い方は作業手順、カン・コツ、それに伴う留意事項を読み、さらに動画を再生する。動画があることにより、この作業での動きを、視覚的に訴えるものとなっている。また、納得のいくまで動画は繰り返し再生できるので、マンツーマンでその作業を教わるのとは異なる。教えるベテランが時間を取れない時などは、学習者のみでの訓練が可能である。これが、映像型技能伝承教材の特徴でもある。しかし、むやみやたらに動画を入れるのではなく、動きを伴うカン・コツの部分には動画は有効であり、イラストや静止画で十分なところとの区別が必要である。この点をはっきりとしておきたい。カン・コツと動画があることにより、作業手順書とは異なるより精度の高い技能伝承教材となるものが出来上がることを、研修受講者に訴えている。 次にベアリングを軸にはめ込む作業について述べる。この作業はベアリングを軸径より100分の数ミリ大きく加熱膨張させ、はめ込むというものである。時間が掛かるとベアリングは収縮し、軸に入らないということになる。そのために素早くはめ込まなければならない。しかし、100分の数ミリしかすきまがないために、経験の浅い作業者は、素早くはめ込むということがなかなかできない。ベテランは素早く一瞬ではめ込むことができる。この部分も前述と同様にインタビューからカン・コツ部分を引き出し、教材にすると図6のようになる。 単に素早くと言われてもどう素早くベアリングの水平を見るのか。その点を図6では、包み込むように持ち、前後左右のすき間を見て、押し込まないで自重で入れると言う表現を使っている。感覚というものに大きく左右される作業ではあるが、その感覚を文章と動画で表現している。この研修では動画についてはあらかじめ一連の作業を撮影したものを受講者に与えて、必要な部分を切り取りパワーポイントに貼り付ける方式を取っている。若干の動画編集という作業が入るが、パソコンに標準装備されているムービーメーカーを使えば比較的簡単にできる作業である。さらに、支給された動画だけでは不足である受講者のために、必要な道工具類はすべて準備した状態で行っている。その場合の撮影は、WEBカメラを使用している。このカメラはパソコンに接続し静止画および動画の撮影が簡単に出来る優れものである。ただし製造現場で使うとなるとパソコンが必要なため、やや不便であるという意見もある−5−2

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