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図4 「信州職人学校」がめざす担い手像図5 「伝統大工コース」の全体スキーム−18−図6 2009開講式の報道記事(日本住宅新聞2009/6/15)を擁し、上部の「全建総連」(全国建設労働組合総連合、約70万人)に加盟する労働組合である。 この組合では、1990年代初頭のバブル経済の崩壊以降、住宅現場における職人待遇の劣化、若者の入職減、技能仕事の減少、工務店の育成意欲の衰退等が著しく、伝統技能の継承に大きな危機感を抱いていた。全国の傾向と同じく、技能者の賃金は下落の一途で、大工の高齢化、若年入職者の減少等は、県内でも深刻化する一方であった(図1)。 そこで、組合では、2004年から技能継承への取り組みを開始し、2006年、「伝統建築技能継承検討委員会」を設置した。翌2007年、地元の知人大工から筆者に学校立ち上げへの協力依頼があった。 筆者は、「東京建築カレッジ」(1996年開校、認定職業能力開発短期大学校、東京土建労組)、「建築施工システム技術科」(1999年開設、職業能力開発大学校、全国に6科、(独)雇用・能力開発機構立)、「職人大学」(現・ものつくり大学、2001年開校、私立大学)等、各種の「ものづくり学校」の開設に協力して来たことから、以来、この学校の企画コーディネータ・講師として尽力してきた。 組合では、この事業を「信州伝統建築技能継承事業」と名付け、2008年、「同事業運営委員会」に改組し、開講準備を進めた。 この事業は、長期的には、「1.伝統技能の次世代への継承」、「2.技能者の社会的地位、待遇の改善」、「3.伝統技能を生かした家づくりの推進」の3事業を目標としているが、当面、1.2.の事業に関する「職人学校の開設」、「新資格と技能評価試験」に優先的に着手し、その他は今後課題とした(図2)。 委員会では、筆者らがこれまで見聞して来た全国の多数の「ものづくり学校」の事例等を参考に、コース目標、対象、財源、期間、カリキュラム、指導体制、技能評価試験等を精力的に検討した。 こうして、2009年6月、「伝統大工コース」の「基礎(2級)コース」を開講し、続く翌2010年6月には、「応用(1級)コース」を開講した(図6)。 引き続き、本年2011年6月からは、「基礎コース/第2期」を開始予定である。技能と技術 2/2011■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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