2/2011
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図1 組込み技術での主な要素と電子情報技術科   での科目 エアコンや洗濯機等の家電製品や自動車には「マイコン」と呼ばれる制御用コンピュータが組込まれており、センサからの信号に応じてアクチュエータを動作させる等の自動制御を行う。このような組込み機器の普及や組込み技術による製品の高付加価値化等から、組込み技術の知識・技能を持つ人材の育成を目的として電子情報技術科が発足した。 組込み技術では電子情報技術の各要素(図1)を結び付け組込みシステムとして完成させる知識・技能が求められる。さらにハードウェアからソフトウェアまでの幅広い知識・技能も必要となる。 学生は図1に示す電子情報技術の各要素について授業・実習でそれぞれ学習している。しかしながら知識・技能をシステム的に結び付ける機会が少ない。そこでセンサ、マイコン、モータ等の要素がシステム的に結び付いており、簡単な電子機器の一種であり実際に動作する簡易ロボット(ライントレーサ)の製作を通して実践的に組込み技術を学べるように検討し、実習を行った。2.1 教材の構想 図1に示した電子情報分野で電子回路やプログラムは動作している様子が直接見えず抽象的であり興味や関心を持ちにくい。 また、それぞれの実習・授業で学んだ内容がどのように製品のようにシステム的に結び付くかが理解しにくい。 そこで以下の3点を考慮した。2.2 自走式ライントレーサ 白い路面上の黒い線をセンサで検知し、線を外れるとマイコンからの信号で線の上に戻るため舵を切るようモータを制御する。自動でこのような動作させるために図1に示す各要素がシステム的に結び付いている。⒈製作を通じて電子・情報とその他の周辺技術がどのようにシステム的に結び付いているか学べるようにする。⒉実際に製作を行うことで知識や技術を実践し、学生自らが製作することで興味や関心を持たせ能動的に取り組む中で問題解決能力を付与できるようにする。⒊能動的となることで限られた実習時間内での指導員から学生への効率的な技術の伝達が行え、組込み技術を活用した高付加価値のものづくりを行えるようになる。 以上からテーマを自走式ライントレーサとした。製作したロボットを写真1に示す。1 はじめに2 教材−13−東北職業能力開発大学校 上原 貴技術伝承の取り組みについて③ I/O(D/A)マイコン(CPU)I/O(A/D)ファームウェア実習電子応用回路実習組込みソフトウェア実習マイクロコンピューター工学実習インターフェースアクチュエータ (モータ等)(モータドライバ等)機械インターフェース(センサアンプ等)センサ工学ディジタル回路アナログ回路メカニズムセンサインターフェース技術機械工作実習電子情報技術の技能伝達への試み

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