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表1 受講者の職種と人数 中央職業能力開発協会では、厚生労働省からの委託を受け、各都道府県職業能力開発協会と連携を図り、継承すべき優れた熟練技能を有している技能者を「高度熟練技能者」として認定している。1) 中小企業では、ものづくりの技能に加え、生産性を向上させるための品質管理・改善、生産工程・ライン・工場の管理、合理化等の総合的ものづくり力を次世代に継承するニーズが高まっている。さらに、いわゆる団塊世代の労働者の引退が本格化する中で、これからの熟練技能の人材、とくに高度熟練技能者を有効に活用することが求められている。しかし、高度熟練技能者の中には技能指導は行えるがマネジメントの指導に自信が持てない技能者も少なくない。 そこで、雇用能力開発機構においては、厚生労働省の要請により、高度熟練技能者が有している技能とものづくり力を中小企業にも適用できるように一般化することと、高度熟練技能者を対象に中小企業等に指導する方法を示して「技能継承インストラクター」として育成することとした。このため、平成21年3月、全国の職業能力開発大学校10校より各校2名の合計20名の指導員が、職業能力開発総合大学校にて「総合的ものづくり人材育成コーディネータ・技能継承インストラクター育成者研修」を受講した。ここで学んだ訓練技法を基に、全国10か所の職業能力開発大学校において、技能インストラクター育成研修を実施することとした。本大学校では、9月から10月の土曜と日曜を利用し、合計30時間の訓練を当校で実施し、今回はこの中から「技能指導と指導計画」を主に報告する。 今回の研修は、東海地方の静岡、愛知、岐阜、長野、三重、滋賀および京都の7県から集まった21名の高度熟練技能者を対象に実施した。熟練技能認定の職種は表1に示す通りで、機械加工が最も多くほとんどが機械系の技術能職であった。また年齢層としては50歳代が9名、60歳代が12名のベテラン層であった。 今回の研修は以下のテーマにて行った。 ・中小企業のものづくり経営の特質と指導すべき熟練技能 ・生産現場の管理とその改善 ・技能指導の原則 ・指導計画の立案 ・技能指導演習 以下テーマごとに報告する。高度熟練技能認定職種機械加工仕上げ金型製造鋳造メッキ石材合計人数14名3名1名1名1名1名21名1 はじめに2 受講対象者3 研修テーマと実施内容技能と技術 2/2011−8−東海職業能力開発大学校 河瀬 博之、久富 光春、田村 和夫 技能継承インストラクター育成研修実施報告

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