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1.工業英語とは職業能力開発総合大学校 専門基礎学科待鳥はる代 職業大では近年工業英語に対して学内の関心が高まり,英語教員とさまざまな専門分野の教員が学科を超えて協力しあい,工業英語を中心として職業大にふさわしい特色ある英語教育を作り上げていこうとしている。このように本校の英語教育が新しい局面を迎えようとしている今,英語授業を担当してきた経験からこれまでの工業英語への取り組みを振り返り,今後の課題を考えておきたいと思う。 工業英語の具体的なイメージをつかむためには公益社団法人日本工業英語協会が実施している工業英検の内容を参考にするのが最も適切ではないかと思われる。日本工業英語協会では,工業英語に当たる英語は「“TechnicalWriting(inEnglish)”または“TechnicalCommunication(inEnglish)”」であるとされ,その「最近最もよく受け容れられている定義」としてPearsallの文章をあげている。それを和訳すると「テクニカル・ライティングとは,科学技術情報を明確かつ正確に,伝えたい相手に合ったレベルで,文書で提示することと定義される。」という意味になる(1)。 日本工業英語協会では,テクニカル・ライティングには広告宣伝のコピーライティングや契約書や特許などの法律関係のライティング,さらにビジネ32ス・コミュニケーションが含まれるとしている(2)。 工業英語の内容をさらに具体的に知るために,同協会が実施している工業英検実施要項の「工業英検審査基準」(3)の一部を紹介すると,「工業英語の基礎知識」(4級レベル)としては「科学・技術に関する簡単な文」,「実験や生産工程に関する簡単な指示,注意事項」および「実験室,生産現場の簡単な掲示,看板」を読み,「科学技術の分野の基礎的な単語」や「簡単な文」を書くことができる能力があげられている。 「応用知識」(3級レベル)としては,「科学・技術に関する基本的な文章」,「簡単な取り扱い説明書」,「実験や生産工程に関する指示文,注意事項」および「実験室,生産現場の簡単な掲示,看板」を読み,「科学技術の分野の基本的な単語に習熟し,簡単な説明文,操作指示文などを書く」能力があげられている。 2級レベルでは「技術的な文章(取り扱い説明書,仕様書,論文等)のスタイルの違いをほぼ理解し,読むことができ」,「専門雑誌,業界誌の内容をほぼ正確に理解でき」,「自分の専門分野の論文をほぼ正確に読むことができる」能力,および「技術英文のメカニクス(句読点,記号,略語等)をほぼ正しく使った文章を書くことができ」,「科学技術の専門用語に習熟」し,「スタイルをほぼよく考慮した文章を書くことができる」能力が要求される。 1級ではさらに高度な読む能力に加えて「読み手に応じた工業英語のレトリック(文章表現技法),メカニクスを活用して,商品としてのテクニカル・技能と技術はじめに実践報告職業大における工業英語の取り組みについて

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