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) ………⑵1−4.太陽光発電システムの計算機シミュレー較すると,P1の方が大きくなっている。電流IPVを増加させることによりPPVを上昇させることができたことになるので,さらにIPVをI2に増加させる。電流IPVがI2のときの電力P2とP1とを比較したときP2の方が大きいので,さらにIPVを増加させる。これを繰り返すことにより,PPVはPmaxに近づくことになる。 電流IPVを図4のI3からさらに増加させI4としたとき,PPVはP3からP4に変化する。このとき,IPVが最適動作電流IOPを超えてしまうため,P4はP3を下回ってしまう。このように,IPVを増やした結果,PPVが減少した場合には,次の段階でIPVを減少させるようにする。 電流IPVがIOPを大きく上回ってしまった場合は,IPVを減少させることによりPPVが増加するため,さらにIPVを減少させることになる。電流IPVがIOPを下回るとPPVが減少に転じる。その場合には,次の段階でIPVを増加させる。以上の制御を繰り返すことにより,PPVをPmaxに近い値に維持することができる。 装置の開発においては,設計の段階で適宜計算機シミュレーションを実施し効率的に作業を進めるというのが一般的である。本教材においても,前述のMPPT制御機能を,製作した系統連系PWMインバータに組み込む前に,計算機シミュレーションを利用して動作を確認する。その際,MPPT制御系における適切な制御パラメータの値の決定方法についても検討する。 シミュレーションソフトとして,PSIM(PowersimInc.)を用いる。PSIMはパワーエレクトロニクス用シミュレーションツールであり,高速計算,使いやすいインターフェイスなどの特長がある。26 パワーコンディショナのMPPT制御では,図2に示すような太陽電池の発電特性の特徴を利用する。したがって,MPPT制御のシミュレーションを行うためには,太陽電池の発電特性が模擬できなくてはならない。 本教材では,文献(9)を参考に,図7に示す回路で太陽電池をモデル化した。本モデルは,太陽電池の出力電圧VPVの値から,太陽電池のVPV-IPV特性で得られる電流IPVの値を数式関数ブロックにより計算し,その値を電流源から出力させるというものである。電圧VPVからIPVを求める式は,⑴式を変形して,と表される。図7のモデルでは,図中のISCと記された直流電源の値を,計算させたい太陽電池のISCの値に設定することで,対応した太陽電池の特性を得ることができるようになっている。 図7の抵抗RPVの値を変化させてそれぞれに対応するVPVとIPVを計算することで,本モデルのVPV-IPV特性を確認することができる。計算結果から,本モデルの太陽電池のPmax,VOPおよびIOPを確認する。 図5の主回路における直流電源の部分を太陽電池4.2 系統連系PWMインバータのシミュレーション まず,実際に設計・製作・評価した系統連系PWMインバータをモデル化・シミュレーションする。PSIMでは,回路を画面上に作成すると,その回路の任意の場所の電圧,電流等が計算できる。図5はPSIMを用いて作成したシミュレーション回路である。計算して求めた素子の値など,実際の回路に合わせて作成する。シミュレーション結果を図6に示す。上から,交流電流値iac,交流電流指令値iac*および交流電圧位相信号vac0を示している。この結果は,前報で示した実験結果とよく一致している(3)。4.3 太陽電池のシミュレーション技能と技術ション4.1 シミュレーション手法PVPVTNB I=−(0Ie+IqVnkSC

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