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② 指導員は,訓練の準備や各種ソフトの習得に忙殺され“企業開拓”を怠っていた。③ 急遽,企業開拓を試みたが“説得力”がなく空振りばかりだった。④ 訓練生のほとんどが未経験であるのに“実務経験年数による即戦力”を求められた。⑤ “質”より“量”を優先した,数を打てば当たるというような就職活動になっていた。⑥ 訓練生は,指導されたテクニックにたよりきりだった。自ら思考し自らの力で内定を勝ち取るという意欲に欠けていた。 当初は気づかなかった就職活動計画の練りこみ不足や指導員の企業開拓での実践力のなさ,訓練生の甘い考え方などを要因とした就職活動の失敗だった。 あいまいだった就職活動計画と実践の根本的な見直しをするしかない。すでに余裕はなく即効性や効率が必要である。そこで,時間のかかる取り組みや場当たり的な就職活動をやめることにした。訓練生,就職相談員,指導員で次のような方針を掲げた。① 「説得力を持たせるための訓練の見える化」② 「夢や希望,ビジョンを持つ」③ 「必ず修了日までに就職する」 そして,訓練生との対話を頻繁にし,就職活動方針に沿った具体的な助言を繰り返した。① 書類選考は,完成・未完成を問わず成果物の報告書を同封し,“実際に品物が作れる”ことをアピールする。② 面接では,成果物やその報告書を活用し,“訓練への想い”や“目標とする将来像”を説明する。③ 自分の将来を想像できる企業を1社ずつ全力で挑戦する。その企業が求めている人材を探索する。④ 希望するが求人の出ていない企業は,競争相手がいないためチャンスである。採否決定者の手元に届きやすい手紙やメールを使い,アプローチ可能となるような文章を考えて送付する。 また,訓練生は,面接や試験内容の要旨を整理し文書で就職相談員に提出した。その各訓練生の情報10をクラスで共有した。 さらに,指導員や就職相談員は,次のようなことを企画し実施した。① 指導員はできるだけ“採用面接に同行”訓練生の受講姿勢や将来性を説明し「成果物や報告書でアピール」した。② 即効性をねらい“人材高度化研究会参加企業や在職者セミナー受講企業”に「報告書を手渡してアピール」した。③ “求人の出ていない”訓練生の望むメーカの正社員を中心に「成果物や報告書でアピール」し,就職先開拓をした。④ 経験豊富な能力開発支援アドバイザーによる提出書類のチェックや模擬面接,その後のフォローを実施した。⑤ 訓練関連業種のリーディング・カンパニーの社長や技術者,採用担当者を講師に招き,「業界の動向」「採否の決定要因」「求められる人物像」「必要な技能」等の話をしていただいた。⑥ 先端技術の見本市や高い技術力を持つ企業の見学をした。前もってポイントを説明しておき,実施後に感想文やレポートを提出させた(図3)。⑦ 他科の就職内定済みの在所生や就職先で活躍している修了生から,就職活動の成功例や失敗例,訓練や仕事のおもしろさなどについての質疑応答を実施した。 訓練生・就職相談員・ハローワーク巡回の能力開発支援アドバイザー・指導員が共有した情報のもと,協力して戦略性をもった就職活動を目指した。技能と技術⑵ 就職活動方法の変更図1 訓練課題による成果物図2 成果物の報告書

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