4/2010
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  写真12 リッツ線を使ったコイル(左)と       単線ウレタン線を使ったコイル(空心)写真13 リッツ線を使ったコイル(左)と     単線ウレタン線を使ったコイル(ポット有り)写真14 誘導加熱器の発振動作試験・自分が作ったパターンで動いたときはとても達成感があり楽しい・パターンを引くことは難しそうであったが,1年も経たないうちにできるようになり驚いた・面倒な作業だが回路図を理解できるようになる・とにかく座学よりは好きですといったようにおおむね好評であった。 さらに,こういった作品の理論や原理を理解すれば楽しいし,説明できるようになれば就職にも有利になるのではないか,と聞いたところ,・原理には興味がないと答えた学生が19人中3人おり,・難しいから自分には理解できないと,最初から諦めて,その努力をしようとしない学生も9人見受けられた。ほかは無回答であった。 作業はこなすが,仕組み等は理解しようとしない学生たちの姿がみえてくる。 学生たちが製作した3つの作品の中で,最も時間を要したのは誘導加熱器の製作である。プリント基板の製作,アルミ製ケースの加工作業のほかに,加熱用コイルを巻く作業が入った。 入手できたリッツ線は,15/0.08で,これは直径が0.08mmのウレタン線が15本撚ってある撚り線であるが,これをさらに7本束ねて,0.8mmφの単線ウレタン線と同程度の断面積を稼ぐことにした。 リッツ線を巻くアクリル製のパイプは,直径が120mmあるので,これに20回程度巻くには,15/0.08のリッツ線は8mくらい必要である。これを直線状に7本用意して束ねていった。当然1人で作業することは難しく,実習場の作業台を一方に片付け,二人一組でリッツ線を張りながら束ねていった。 この作業では,面倒臭がって適当にしている学生はいなかった。むしろきれいに巻こうとして慎重になっているくらいである。また,「体を動かすことが好きだから,いつもこういう授業にしてほしい」という声も出てきた。実に生き生きと作業をしていた。 しかし重要なことは,なぜこういう面倒な作業をするのかということであり,こちらのほうに大いに関心を持ってほしいのである。6 写真12左側はリッツ線を使ったコイルで,右側は同程度のインダクタンスが確保できるよう,0.8mmφの単線のウレタン線を巻いたコイルであり,下の数値はLCRメーターで測定した,それぞれの空心状態のインダクタンス値とQ値である。 Q値に注目すると,リッツ線のほうが倍以上大きく確保できている。これはQ=ωL/Rであるから,LCRメーターの発振周波数250kHzに対して,技能と技術

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