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4.日本の気候風土と左官3.長期優良住宅と関係法律の流れ図3 大正時代の町屋 修復と耐震改修16図4 京町屋の通り庭やビル開発により簡易的な「乾式工法」工場生産建材による建築に取って変わり,「湿式工法」が衰退したことから左官による塗り壁が激減した。これによりシックハウス症候群や化学物質汚染が増加。不幸にして火災が起こると燃焼時間や毒ガスによる死亡事故が多発することとなった。 近年,これらの反省からか左官の自然素材による塗り壁が見直され「塗り壁の家」というような宣伝文句が出てくるようになった。これらと,世界的に問題となっている地球温暖化による低炭素施工や健康的な住宅環境が求められることから自然素材による工法,左官の対応が注目されてきた。 図3は,阪神淡路大震災から既存木造建築が弱いという「風説」が流れたことから大正時代に建築された町屋を,手前は修復のみ,奥は耐震工法として修復発表したもの。 その地球温暖化問題国際条約「京都議定書」が平成17年に発効され,今や世界的低炭素化問題が避けて通れない。これは法律ではないが,現在の建築では省力施工が半ば義務づけられている感がある。その前に,住宅品質保証に関する法律「品確法」が平成15年10月に施行され,シックハウスなどの報告が義務化されている。これに関連し耐震偽装も絡んだ「瑕疵担保履行法」が平成20年4月に施行,翌21年10月その履行が義務化された。 これは,国交省が進める「超長期優良住宅」構想の基幹となすもので,これらのすべてが左官とは深く関連している。 高温多湿の気候には,紙と木と土による日本古来の既存工法が理にかなっている。図4は京町屋の通り庭だが,この空間にすべての機能を持たせている。京町屋は「隙間風文化」と称せられ現在も住まれている人たちを含め,潤いのある住環境に満足されている。 これらの住環境が,先述の簡易的な建築に取って代わられ,それらをフォローする法律が必要となってきた。それがシックハウス症候群や火災による人命の犠牲を強いられている現象である。また,日本の住宅の寿命が20~30年といわれる原因ともなっている。後に触れるがこれに左官の壁が加わるとそれらの問題が解決する。 言葉を重ねるが,日本の気候風土に合った長期優良住宅は,内外を含め左官の壁が欠かせない。技能と技術

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