4/2010
17/40

1.左官の始まり2.新しい左官図1 コロセッウム4/2010図2 土壁の保湿性京都府左官業組合連合会 京都左官協同組合専務理事平尾  茂特集 土を掘り,積み上げ風雨から身を守る行動から左官が始まった。やがて火山灰が,何かの変化で固まることを知り建築らしきものとなっていったと思われる。これらにつながる工法「土コンクリート」で作られたポンペイの遺跡やローマのカラカラ浴場・コロセッウムなど数多くの建造物が現在でも数千年の歴史を経て残る。 これらは,現在も工法として残り「土のたたき工法」・「版築」として施工されている。四日市の潮吹き築堤(重要文化財)などは,100年を超え土の強度を証明している。(同時期に作られたコンクリート製の築堤は破損) 近代に入りこれらの土も「塗り壁」として使われるようになり,荒壁から威容を示す城郭の白壁戦国時代,千の利休により茶室に土壁が塗られ現在の化粧壁になっていった。と,同時に土壁の代表的な構築物として「土蔵」がある。土蔵の仕様は,数百年前にして低炭素化であり調湿性に優れている。夏涼しく,冬暖かい土蔵の構造は,耐火性に優れ火災からも併せて貯蔵物を守ることは一般に良く知られている。 図2のグラフに示すように,内外温湿度の波と内部の直線に表れているが,これをNHK(アインシュタインの眼・土壁は生きている)がカメラによって証明している。 日本の気候風土に合った数百年の歴史を持つ既存工法が,戦後の好景気と核家族化による住宅ブーム153   ものづくり訓練の現状と課題等について―ものづくり技能の継承と人材育成―環境・健康と左官

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る