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<引用・参考文献> このように,業界関係者に話を聞く限り,彼の漫画は,溶接機メーカやファブリケーター,教育機関など多方面にわたって溶接業界の人材育成に貢献していることがうかがえる。 著者は,サラリーマン時代をも含め,20年間人材育成の仕事にたずさわってきた。この間,数多くの訓練生を育成し,世に送り出した。多くの卒業生がものづくり現場の技能工あるいは技術者として活躍している声を耳にするときが,指導員をやっていて一番うれしく感じる瞬間である。 ただ,今回のケースは非常にまれであり,時節柄,胸中複雑な思いがある。“公共職業能力開発施設の教え子が就職,その後漫画家に転進…”というと聞こえが悪いからである。しかしどういう形であれ,本ケースは,ものづくり業界に少なからず貢献して361)野村宗弘:「とろける鉄工所(第3巻)」,講談社,p.482)野村宗弘:「とろける鉄工所(第1巻)」,講談社,p.703)野村宗弘:「とろける鉄工所(第4巻)」,講談社,p.524)野村宗弘:「とろける鉄工所(第2巻)」,講談社,p.405)野村宗弘ホームページ  http://www.geocities.jp/toukyousamitto/いる事例である。とりわけ,特定ものづくり基盤技術である溶接技術は,技能技術者を志願する若者が少なく,近年では社会問題になっている。このような中,ポリテクセンターで溶接技術を学び,その後企業で技能技術者として開花させ,その経験を漫画“とろ鉄”を通じ業界の人材育成に貢献している野村宗弘氏の功績は大きい。今後のさらなる活躍を期待して,末筆としたい。技能と技術

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