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1.はじめに2.POCEとは北海道センター(北海道職業能力開発促進センター)濱田  勇表1 POCE記述フォーマット例・~計画できる・~判断できる・~の判断基準・~の感覚 住宅サービス科のアビリティー訓練を実施する際,指導案を作成し訓練計画の明確化に心がけてきた。指導案の作成では次の2点を意識してきた。① POCEを明確にする。② 指導項目を目標分析法や作業分解法で明らかにし,1つひとつの指導項目を受講生が確実に習得できる手段を検討する。 ところが今回新たに計画した小屋組のセミナーで,上記①②を意識して計画するだけでは,受講生の満足を十分に得られないことがわかった。必要なことは①②に加え,「POCEの一貫性を確保する」ことだった。本稿では,POCEの一貫性を確保する訓練計画について報告する。 POCEとは,職業能力開発総合大学校の新井吾朗先生が考案した訓練計画の考え方である。訓練の目的PurposeのP,目標ObjectivesのO,指導項目ContentsのC,そして評価EvaluationのEをまとめてPOCE(ポース)と呼び,次の2項目を満たすことがよい訓練計画の条件とされる。① POCEの4要素が明確であること。② POCEの一貫性が確保できていること。 以下に詳しく示す。 まずPOCEを明確にするとは,POCEを書き出す3/2010ことである。表1はPOCEを明確にするため使用したフォーマットである。 目的(P)は,訓練を実施する理由である。目的を明確にするため次の3点を記述する。・受講する訓練生が解決すべき問題:現実の職業生活の中で抱えている問題。訓練を受講し能力を高めることで解決したいと考えている問題。・受講前の訓練生の既習得能力の現状・受講後の訓練生の修了者像 目標(O)は,目標達成の判断基準である。目標は,訓練終了時に受講生が習得する能力を「~できる」と行動で記述する。指導項目(C)は,受講生を目標に到達させるために指導員が指導する内容である。評価(E)は,受講生が目標に到達できたことを評価する方法である。 次に,POCEの一貫性の確認である。確認するのは,以下6組の論理的な整合がとれているかである。目  的問  題:現  状:修了者像:目  標・~できる指導項目・~の手順評  価21実践報告~POCEの一貫性に注目して~「目的」を重視した訓練計画の立案

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