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2−=myAΔL(y)3.損失関数を適用した技能の評価30−00.1−00.4φ3.1 実技課題における損失関数の適用表1 実技課題の寸法の分類項 目個別に許容差を指示幾何公差普通許容差粗さテーパねじ83.2 損失関数を適用した技能の評価の実際図2 損失関数の概念図来栄え,安全作業性,作業時間を総合して,受検者の技能を合否判定するものである。 図1に課題図2)を示す。図より,テーパ,偏芯,ねじ切り,四つ爪チャックを用いた芯出しといった汎用工作機械の操作技能をみる課題である。各寸法において,個別に許容差を指示したり一括に指示していることがわかる。そこで,形状の指示をその指示方法の違いに着目して分類したものを表1に示す。個別に許容差と幾何公差を指示されるところは許容差が狭く設定されており,作成するうえで注意を要する。技能の定量的な評価と技能量の予測についてはすべての寸法に適用することができるが,本報告では表に示す14ヵ所を採用した。 技能検定の採点基準は,公表することを許されていない。そのため正式の採点基準を模した採点表を作成して学生に配布する向きもあるが,筆者はこれを採点基準の漏えいに準ずるものと考える。また,学生に対して,許容差内に加工が施されていれば満点であるという指導も製造業における品質特性の実態と合っておらず気になるところである。そこで,品質工学における損失関数3)を適用した技能の定量的な評価方法を提案する。 図2に,今回適用する損失の概念を太い実線で,従来の損失を太い破線で示す。従来の概念では,許容差ぎりぎりで製造された製品も目標値どおりにつくられた製品も同質として扱われていることになる。また,市場で生じる損失を取り込んでおらず不都合が生じることとなる。備 考個数13121132官能検査のため計数化す1本報の検討対象適用可能ることで適用可能 次に,品質工学による損失と許容差の関係について説明する。この関係で重要なことは,得られた特性値の目標値からのずれが許容差内に収まっていても,ずれ量の2乗に比例して社会に損失を与えるとして,製造者と社会の受けるコストのバランスするところに許容差を定めることにある。基本式を式⑴に示す。式⑴は,材料費や人件費などを考慮し,高次の項を省略して得られるテーラー近似式である3)。 許容差を超えることによって生じる損失をA,目標寸法をm,許容差を±Δとし,加工を施すことにより得られる寸法値yは,簡単のため,平均値m,標準偏差をs=Δ/3とする正規分布に従うと考えるのが妥当である。このとき,寸法値y0で加工された場合の損失はL(y0)となる。式⑴により得られる個々の損失の合計は,課題作品の全体的な実技課題からのずれ量を示すこととなるので技能を定量的に評価する指標となる。 実技課題において,個別に許容差を指示している寸法と幾何公差を合わせると,表1に示すとおり14ヵ所である。これらについて,式⑴を適用して,各寸法における損失Liを求める。損失の合計を技能の評価値とする。例えば,    として寸法を指示され,加工により得られた寸法値をy0とすると,目標値m,許容差Δおよび標準偏差sは式⑵のように求まる。 ここで,標準偏差sの係数kは実技課題に取り技能と技術・・・・・・(1)

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