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1.はじめに2.訓練のながれ27特集 滋賀県草津市にある高等技術専門校で,知的障害者の職業訓練がスタートしたのは,平成17年4月のことである。本事業は国の委託事業で,その概要は一般の県立職業訓練校に知的障害者などを対象とした訓練コースを新設し,職業訓練を実施,職業能力の開発・習得を図るとともに,障害者の雇用促進に貢献するというものである。訓練内容は,販売・事務・物流というサービス系の職域に関する専門的な技能・技術を付与し就労に結びつく職業能力開発・向上の機会を提供するのが目的である。 滋賀県では,平成17年12月に,チャレンジドwork運動推進事業の一環として,県知事と《障害者の『働きたい』応援》トークを開催して,県内の企業代表や社会福祉法人の代表がパネラーとなり,障害を持つ当事者が事例を発表している。これは当時の県広報誌でも取り上げられて“地域の自立と協働の自治への転換”と題し,地域福祉の在り方を提唱した。滋賀県統計課によると,平成20年度時点での障害者の雇用率は,昨年比横ばいで1.66%,また法定雇用率を達成している企業の割合は,前年より低下して54.2%である。 さて当校では,過去5年間の訓練受講生69名のうち平成21年度2月末日時点で,57名が就職した。就職先状況は表1のとおりであり,就職者数は21年度末時点ではさらに増える見込みである。最も多いのは販売関係と製造関係である。続いて事務関係と流2/2010通関係が並んでいる。※平成21年度末時点で就職者数は、一般企業53名、作業所など10名に増えています。 1年間の訓練の流れを通してみると,4月入校時点で仮のコース決定を行い2週間程度の体験期間を設けて,どちらのコースが適正かを訓練生本人と職員で判断する。 入校以前に,訓練体験ができるとそのときのイメージがコース決定の判断材料となるケースがある。訓練生本人の希望のみならず養護学校の進路指導や,関係機関からの勧め,あるいは保護者からの要望を参考にコースを決定する場合もある。 いずれにしても,決定後はコースカリキュラムに沿って1年間の訓練が始まる。7月には職場体験実習を2週間実施する。訓練生の課題を明らかにし,以後は課題をクリアできるように個別訓練を重ね11月には就労を見据えた職場実習に挑む。11月に就職内定に至らない場合は,訓練生それぞれの適性に応じた個別訓練を積み,1月末ころの職場実習に備える。作業所など8名表1一般企業49名元 滋賀県立高等技術専門校真岸久美子就職先就職者数障害者に対する職業能力開発の現状とその課題特集知的障害者個別訓練の在り方と課題について

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