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4.模擬職場実習の取り組みピュータの基礎訓練では,演習課題を通して,表作成や書類作成までの基礎技能の習得を目指している。 訓練生にとって,問題数をこなせば,各ソフトの機能は十分に覚えていくことができる。しかし,与えられた問題をひたすら解いているばかりでは,自ら作業または生産し,実戦的(応用)な能力の習得には至らない。 この基礎訓練で習得した技能だけを有して就職した場合,修了生は企業で作業を指示されたとき,「戸惑い」を生じ,訓練と実際の仕事とのギャップに気づくことが予想される。 表計算ソフトで作られたフォームに,データ入力をすることはできる。しかし,データを渡されて,そのつど指示される表作成,書類作成までできるようになるには,その従業員の能力と実務経験に委ねられる。 指導員は,アプリケーションソフトの使い方をうまく説明するのは当然であるが,何のために覚えなければいけないのか,この課題に何の意味があるのか,教科の指導に際して,場面を理解させた指導も必要である。 訓練生個々の特性に応じて課題を「いつまでに仕上げること。」,「作業の追加・変更」等の期限や応用的な作業の指示を与えることである。そして,訓練生は一般的にその指示に従い作業を行い,作業終了後は,指導員に作業結果を報告してくる。その際に,指導員は,作業結果(質・量・速さ)の評価と同時に訓練生の報告・説明の仕方についても適切な評価と指導をすることが重要である。 また,修了生が社会で活躍するうえでは,今後もフォローアップを強化することで,定着率の向上が望めるとともに,修了生の職業能力の向上を支援する手段としては,能力開発セミナーの普及・充実を図ることが必要と考える。 訓練生に対する体調への配慮は常に必要であるが,必要以上に体調について「問いかけ」や「声掛け」をしてしまった経験はないだろうか。過剰の2/2010「問いかけ」となった場合,訓練生は「過剰」の問いかけを「通常」の問いかけと思い込んでしまい,他の訓練や就労時にはかなりやっかいとなる。あくまでも,訓練中には企業を想定した体調管理にとどめるべきである。 一方,訓練生の「実習への意欲」や「自信を取り戻させる」ために,筆者は,訓練中に,次のようなキーワードをよく使用している。【やる気にさせるキーワード】  ・ありがとう。  ・あなたじゃないとできなかった。  ・それ,いいですね。  ・手伝ってください。  ・安心して頼める。  ・何をやらせても丁寧ですね。  ・よく観察していますね。  ・~さんも喜んでいましたよ。  ・助かります。 パソコン操作などの技能や簿記など専門知識を習得するだけではなく,体を動かし,共同作業をすることにより,職場での仕事を具体的にイメージするのが容易となる。 また,仕事に対する責任感や職場内での人間関係・コミュニケーションなどの重要さも訓練を通して体得できる。 さらに,就労に際しての環境変化への対応にもレディネスが得られる。さまざまな環境のもとで模擬作業を実施することで,訓練生にとってよい自信となると考える。 模擬作業の中では,作業のどの部分を見直しすればよいか,どのように的確に質問をすればよいかなど,外的課題から内的課題まで,訓練生は指導員と直接腹を割って向き合うことになる。 今回紹介する作業は,作業課題の一部分である。そのほかにも,フロッピィディスクの初期化,名刺3⑷ 体調への配慮と「問いかけ」⑴ 模擬職場実習の意義

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