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1.はじめに2.強い電磁石とは実験ノート 電磁石の製作は小学校の理科でも習う,大変ポピュラーなテーマです。また,いわゆる「強い電磁石を作るには・・・・」というテーマについても,多くの人がその答えを求めて質問し,それに多くの方々が答えています。ただ,残念なことに,「これだ」という記述には出会えていないのが現状ではないでしょうか。 このテーマの答えは,一見,小学校の理科で答えが出ていて,今さら,ほかに強い電磁石を作る方法などあるの? と思われるでしょう。 しかし,多くの一般的理論だけでは,強い電磁石を作る助けになっていないように思います。 そこで,今回は,強い電磁石を作るために実践的に何が必要なのかについて記述してみたいと思います。ぜひ,これを参考に本当の意味で強い電磁石を作る一助にしていただければと思います。 改めて,いわゆる[強い電磁石]とはどのようなものなのかを確認してみたいと思います。 クレーンの先につけた大型電磁石で,鉄のスクラップを吸着して移動させる重機があります。これに使われている電磁石は間違いなく「強い電磁石」だと思います。そうです。強い電磁石の条件・・・・それは・・・・・重量が大きい2/2010ということです。逆の言い方をすれば,軽い電磁石は弱い(それほど強くない)ということになります。 しかし,これでは,みなさん納得はしないと思います。 「強い電磁石は作りたいが,重量が大きくなっては困る」ということになるのではないでしょうか。 実は,ここが重要なところで,一般的にいわれている強い電磁石を作るファクターである,◦巻き数を多くする,◦電流を多く流す,◦鉄心を太くする,◦コイルを密に巻くということにだけ気を取られていては目的を達成することができません。これらの条件の「巻き数を多くする」ことと「鉄心を太くする」については,大きくすればするほど重くなることは明白です。したがって,単純には,強い電磁石=重くなる ということになります。 重い電磁石が強いことは明白ですから,なるべく軽くても強い電磁石にすることが目標になるわけです。これを達成したかどうかを判定するには,次のような至極単純な指数αを求めて検証すれば,簡単に真の意味で「強い電磁石」になったかどうかを判定することができます。ここでは,「強い」という意味を電磁石の吸着力Fでみることにします。 電磁石の質量をWとすると,指数αを α=F(g)/W(g)で表すことにします。 電磁石を鉄板に吸着させて,引っ張り,吸着が離れたときの値F(g)を読み,その値を電磁石そのものの質量で割り算します。29宮城障害者職業能力開発校新妻 幹也「強い電磁石」を作るための一考察

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