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廃グリセリンは不純物が多く茶褐色であり,モルタル表面における着色の影響を調べた。修正マンセル表色系HV/Cにおいて,Hはマンセル色相,Vは明度,Cは彩度を意味する。修正マンセル表色系の結果では,彩度が低く,ほぼ無彩色であり,明度の差も離型剤を使用しない場合と比較して0.2程度であり,ほぼ同色であることがわかる。また,L*a*b*表色系で離型剤を塗布しなかった場合との色差ΔE*も1.7と小さく,一般的に同じ色と判断されるレベルの色差である13)。したがって,離型剤を使用しない場合とほぼ同色であり,着色の影響は少ないといえる。 図7には離型荷重frの測定を行った結果を示す。グリセリン離型剤を塗布した場合は,塗布しない場合と比べ,離型荷重は減少し,離型しやすいことがわかる。また,市販の水性離型剤と比較しても,遜色ない結果が得られた。 脱型したモルタル供試体について材齢14日の圧縮強さfcと曲げ強さfbの測定を行った。モルタル供試-市販水性離型剤3.0GY3.4/0.81.7体の圧縮強さの測定結果を図8に示す。ここで,グリセリン濃度CGが0wt%の場合は,離型剤を塗布していないことを意味する。 JISによれば普通ポルトランドセメントの材齢28日おける圧縮強さの規格は42.5N/mm2であり14),材齢14日で規格を満たしている。しかし,グリセリン量が80wt%の場合は離型剤を使用しない場合に比べ,強さが低下する結果となった。これは,グリセリン量が多いとモルタル表面の硬化遅延が起こるためと考えられる。一方,曲げ強さについては,顕著な変化は確認されなかった。 図9は鋼製型枠に対しての防食性について,観察した結果を示す。離型剤を塗布しない場合は,腐食(赤錆)の発生が確認できる(図9a)。廃グリセリン離型剤を塗布した場合は腐食の発生は認められず(図9b),市販離型剤と同様(図9c)に防食性が確かめられた。これは,液性がアルカリ性であることから,表面に不働態皮膜が形成され,防食できたと考えられる。27表2 離型剤のモルタル着色の影響(材齢7日)離型剤なしグリセリン50wt%3.6GY3.7/0.8修正マンセル表色系HV/CL*a*b*表色系色差ΔE*4.0GY3.5/0.8図7 離型荷重2/2010図8 圧縮強さ(材齢14日)のグリセリン濃度依存性1.7---:材齢28日圧縮強さ規格,---:市販水性離型剤

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