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9.おわりに 完成後には数日を置いて次の訓練のために解体を行わなければならない状況である。 完成後にもっと時間がとれれば広報を行い,建設業の企業など外部の見学者にも訓練内容が周知でき,将来的に就職につながるのではないかと思われる。 システムユニット訓練ではあるが施工の進行具合により屋内配線作業,給排水の配管作業の工程,室内の仕上げ後に行われるキッチン,洗面台などの衛生器具の据付,照明器具の取り付けなどの作業があるため企業実習前の時間に仕上げ作業が集中することなどもあった。 このような訓練が実施できた要因は,事前の実習場の調整などはもとより,既存の住宅サービス科,およびビル管理科の2コースが並行して実施されているなかで居住系2科の指導員がそれぞれ横断的かつ柔軟な対応ができることも大きかった。工程に多少の変更が生じたとしても,各科それぞれの指導員が既存科の訓練内容を柔軟に担当できる体制でなければスムーズな展開はできないであろうと考えられる。 短い訓練期間の中ですべての工程を実施することは,技能を習得させる意味での職業訓練としては賛否があると思われるが,設計,施工管理,住宅の営業,リフォームの提案などを目指す者および訓練生が女性であっても建築の業界に入る糸口となる訓練であると考えている。 デュアルコースでの実施であるが,受講者および就職先の企業のニーズにより,通常の6ヵ月のアビリティー訓練として総合住宅建築コースとしての展開も可能であり,企業実習の時間を施設内訓練として技能習得の時間として増やすことができると考えられる。 今回このような住宅建築の総合的内容の訓練を実施できたことは,住宅サービス科,ビル管理科双方の指導員にとっても大変有意義であったと感じられる。単にそれぞれの職種に必要とされる技能や知識だけでなく,普段の訓練では検討されない他の業種の施工に関する検討および確認事項や,工程管理についても必要性が十分認識された。 また,現場での施工経験の少ない指導員も改めて自分の担当している職種の幅広い関連知識の確認ができた訓練となった。 CO2の削減問題が連日報道されるなか,企業活動だけでなく一般住宅にもCO2の削減に関する要求が出てくることは当然であり,訓練内容も設備機器の進化にも対応していかなければならないと考えている。21年度に施工したなかでは直接的にCO2削減対策に関係したものは取り入れてはいないが,22年度では省エネルギー対策も意識し,給湯機器にエコキュートを設置したオール電化の計画をしている。また,一部照明にLEDを利用したものも使用する予定である。今後市場の動向をみてソーラーパネルおよび燃料電池なども導入を目指したい。 また,訓練内容の個別な点において整理検討したうえで,当該コースを実施する計画である。 また,今回の報告の写真は既存の住宅サービス科との違いである照明,設備機器などを中心に掲載した。 最後に,秋田センターで長年勤務されてきた,中田洋一先生が平成20年度で退職されましたが,本訓練コースの立ち上げにおいて,豊富な知識と経験を生かし,多大なご協力をいただいたことに,お礼を申し上げたい。技能と技術写真17 ミニキッチン (IHヒーター)22

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