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4.細かい板書でぼやける要点3.手話通訳者の配置状況 写真でも訓練の状況がおわかりになると思いますが,聴覚障がい者が手話通訳者,講師,板書のすべてを一度に見るのは難しく,また,手話通訳者がスクリーンを背にしているため,パソコンの「クリック」などのタイミングでスクリーン上の画面が変わっても,手話通訳者にはわからず,聴覚障がいの生徒から「どこでクリックしたのか」と手話通訳者が聞かれても答えられない事態が起こりました。この対策には,指導員や講師が「今からクリックします」など予告してから実演するという「時間差クリック」という手法が有効です。手話通訳者から,ある講座で手話通訳者から見える位置にモニタがあり,そのときは便利だった,という話を聞きましたが,手話通訳者は通訳ばかりではなく,聴覚障がいの生徒の理解状況等の確認にも忙しく,モニタまで見るのは難しいとも思われ,訓練方法の工夫がまず大切です。 当校の年間の手話通訳者の配置状況は,平成21年度(2009年)においては,週30時間の『専任手話通訳者』3名と登録者15名の『時間雇用の手話通訳者』で,年度前半(8月ころまで)の訓練の半分程度に手話通訳が配置されるので,学科のほとんどの訓練には,手話通訳者が配置されている状況です。 しかし,年度後半に向けては,次第に手話通訳の配置も少なくなり,手話通訳者が配置されない場合でも訓練指導の工夫が必要になります。例えば実習中には,実物を示して説明するなどの工夫をします。(実際にパソコンのスイッチを,押してみせるなど)先輩指導員に教えていただくなどして,手話通訳者が配置されていないときの聴覚障がいの生徒への指導のコツが少しずつわかってきたように思います。------------------ 手話通訳の配置時間数には限りがありすべての授業に手話通訳をつけることはできない。手話通訳がいないときには筆談や口形を読みとってもらう方法がある。(「訓練指導上の留意点」より抜粋)14------------------ はじめのうち,手話通訳者が不在の日は板書を細かく行うことで対応してみました。それは,自分が発した言葉を,すべて板書するぐらいでした。 板書した文字のうちには,すぐに消してしまっても構わないような重要度が低いものもありました(たとえ話や挿話,指示の類)。しかし,つまらぬことまで板書しているために板書の要点がぼやけてしまうことに問題を感じました。手話通訳者がいれば,「板書は,生徒がノートを作るためのもの」と割り切って,挿話の類は一切板書しないことができるのですが,板書だけの訓練を実際に経験してみて非常に困惑しました。 他科に,発言をすべてキーボードで入力して訓練している講師が1人います。「発言はすべてサーバにアップしていますので各自でとってください」という方法をとっているこの講師に話をうかがいました。もともと,パソコンで制作した教材を部分的に表示しながら訓練を行うことから始めたそうですが,訓練の進行具合によっては書き加えることもあり,現在の形になったそうです。 聴覚障がいの生徒以外の,実習室の後ろの座席にいる生徒にも見えるように大きな文字で映し出すため,スクリーン上での表示できる文字数は少なくな技能と技術写真2 ある日の板書 説明,指示,質問     への回答などが混在してしまう  

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