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4.訓練内容5.訓練の現状と注意点ので安心して作業に取り組むことができる。指導者側で作成した作業指示書は,時として理解が困難な場合があるので,伝わりにくい訓練生には,作業手順を訓練生本人と一緒に作成すると理解しやすい。訓練では発達障害を伴う訓練生に対して効果が現れた。問題は,実習先現場でも,メモ帳にきちんと書くために時間がかかりすぎて,実際の仕事がおろそかになっていたという結果を招いた。 事務訓練では,汎用性のある訓練として,メール便の仕分け,ファイリング,印刷・製本,古新聞の片付け,接客・電話応対,文書発送準備,文書修正,電卓計算処理,伝票記入,名刺作成,データ入力各種を行っているが,訓練生によっては,このすべてを実施できない場合もある。また個別に特別メニューなる訓練を用意して実際の仕事を手伝って貰う場合も少なくない。代表的なものは仕事のマナーやルールが書いてある冊子の印刷・製本だ。平成20年度から希望者に配布を始め,今年は県内の中学校から製作依頼があり,約350冊が無料配布された。ほかには,差し込み印刷で作成した文書を発送作業したこともあった。期限付き作業では,数人で役割分担して得意な分野を担当させた。いずれも,作業結果の確認は職員が行う。実際の仕事ということで,訓練生にはある程度の緊張感が生まれ,作業が終了したときには安堵感と達成感があった。ボリュームのあるデータ入力を8時間程度で成し遂げた訓練生は,確認作業のときも手を止めることなく,次の行程を意識しながら作業を続けることができた。責任感の現れがみてとれた。現在,訓練で作成したロゴ入りの封筒は,実際に科内の通信などに使用されている。 5年間の訓練で私が気づいたことは,技能,技術を習得すること以上に訓練を受講するときの態度面が重要であるということだ。登校してきたときに,10「おはようございます」に始まり,帰るときは「お疲れさまでした」というあいさつが自然に気持ち良くできることが大事だ。どれだけ,速い速度でメール便の仕分けができたとしても,「はい」という返事ができなかったり,報告・連絡・相談ができないと面接時に,企業側からはそこを指摘されてしまう。逆に,限られた作業しかできない訓練生でも,「笑顔」が良かったり,一生懸命さが相手に伝わるような訓練生は,その態度が認められて仕事に就くことができるケースがある。そのため,基本訓練で社会生活のマナーやルールについて訓練を実施しているが,専門訓練のなかでも徹底させる必要がある。企業見学や,実習の打ち合わせのときなどにその結果が態度で現れてしまう。 入校時点ですでに生活態度がしっかりできている訓練生はきわめて少ないので,訓練を重ねるごとに,生活態度面が良くなっていくというのが理想だが,なかなかこれが積み重なっていかないケースが多い。その場で注意を受けるときちんとできるが,時間の経過とともに忘れてしまう傾向が強いからである。このようなケースに,「何故」という疑問は通用しない。そこで,見えやすいところに注意事項をテプラに書いて貼り付けておくというやり方もあり,ドアを開ける目線の先に“失礼します”などと貼り付けてあると自然に言葉が出てくる訓練生も見受けられる。 作業内容に関しては,指導員が直接企業へ出向き一定期間(1週間程度)研修生として受け容れて貰えるならば,作業手順や効率的な作業のやり方を覚えて,訓練生に明確な指導ができるので理想的だ。しかし,現実的にはなかなかこれが実践できない。当訓練校では役割分担が決まっているので,支援に当たる職員は企業へ出向く機会が多いが,訓練だけを担当する指導員は外へ出向く機会が少ないからだ。訓練担当者は,就職支援担当職員から,企業が募集している作業内容を聞き取り,模擬的内容で訓練を行うが実際の現場とは違うので,到達点がまちまちである。当然,支援に当たる職員と訓練指導員とは密に連携をとる必要がある。 面接を受けようとする訓練生は企業側が見学会を技能と技術

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