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3.ケースにみる問題の考察 特異なケースとして,7月の体験実習時に企業から作業態度を認められて,“就職”を前提にした実習を8月に実施,9月には就職した訓練生がいた。反対に,3月まで訓練を重ねても就職が決まらず,修了した後に地域の関係機関や訓練校のアフター支援制度を利用して就職できた訓練生もいた。 以下のいくつかの事例を考察してみたい。ケース① 17年度事務訓練のなかではデータ入力に力を注いだが,訓練生用のOS:WindowsXPが職場に届いたのは8月末であったために,それまでは古い機種を使用して,基礎的な操作方法を中心に訓練を行った。新しい機種に入れ替わってからは,興味関心が大変高くどうしてもパソコンを使う仕事に就きたいという希望を持つ訓練生に対して,技術的な内容で個別訓練を行ったが,事務関係ではなく工場への就労となった。 それでも,訓練生は当校の訓練には満足していたようである。その理由は,修了時に話してくれた「今までの所では特別扱いされ自分の考えを否定されてきた。ここに1年間通えたのは,私の話を聞いてくれる人たちがいたからである」と。単に技能技術を習得するだけでなく,訓練を受ける仲間ができたこともこの訓練生にとっては,職業意識の幅や生活の質を高めたに違いない。8ケース② 18年度は,17年度に事務関係への就職者が出なかったことを受けて,何とか事務関係の就労者を出したいという思いから,データ入力訓練やファイリングなどの個別訓練に集中的に取り組んだ。その結果,事務関連への就労が叶った。 ファイリングは,企業側から示された内容を聞き取り,類似した特別の内容を作成して取り組んだ。訓練生も,“自分のための訓練”であると就労へのモチベーションが上がり,非常にまじめに取り組んだ結果が実を結んだ。 私が自作したExcelデータ入力詳細内容は,ファックスで届いた伝票を読みとり,数値を入力すれば,関数が設定してあり商品名や金額が表示される仕組み。印刷した伝票に訓練生は担当者印を押すというもの。照合が必須の訓練だけに,よく視ることはもちろん,入力場所を間違わない注意力も求められ,ミスを確認するのも簡単なので訓練生にはわかりやすかったのではないかと思う。ケース③ 18年度に制作実施した『メール便の仕訳』を19年度に入ってさらに熟達させた。 これは,国立職業リハビリテーションセンターが行っている訓練内容に類似している。 詳しく説明すると,滋賀県下を18の地域(現在はさらなる合併により16地域)に分別し地域名を表示した箱に,メール便を仕分けるという作業である。訓練では,300通を一度に仕分けて,それにかかるタイムと正確さを記録する方法。いきなり多量を仕技能と技術

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