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3.ポリテクカレッジ福山の訓練内容<備後織物><備後絣><家具><福山琴>⑴ 生産技術科生産技術科を占めています。 その他,備後地域の地場産業としては,以下のものがあげられます。 江戸時代,藩主水野公の奨励によって綿の栽培と縞木綿の製織が本格化し,明治中期以降に業界の組織化が進みました。現在は,藍染め技術を生かした綿デニムを中心に,綿白生地,合繊織物を生産し,特に綿デニムは全国シェア50%を占めています。 江戸時代末期,麦藁屋根の押し鉾竹が,煤(すす)で汚れて白と黒に染っていることにヒントを得た絣織物が発祥で「文久絣」として販売されました。その後,明治初期に品質改良が進み,その美しさや珍しさから「備後絣」の名称で全国に販路を拡大しました。現在も,絣の単純素朴な色彩,デザインが好まれ,綿やウール等を素材として,和服,洋服に利用されています。 明治・大正期からタンス,長持等が盛んに作られており,昭和初期に木工専門学校が設立されて地域をあげて技術力の向上が図られました。昭和30年代には,輸送機関の発達などにより,産地の名声は全国的なものとなり,その後も,ライフスタイルの変遷に合わせて生産された高級家具が好評を博し,全国移出の総合産地となっています。 古くから琴,三弦,尺八が盛んで,優れた琴の演奏者や数多くの琴職人がいましたが,江戸末期にその製造技術,技法が確立されました。明治末期には,伝統の技法を生かしながら,より精緻な製造技法が確立され,今日における福山琴の基礎がつくられました。福山琴は,手づくりの良さが随所にあふれ,音色が冴え,長年の使用に耐える優秀な琴とし54て有名で,全国の7割以上を生産する全国第一位の産地として発展しています。 生産技術科では,基礎的な技術・技能を理解し身に付けることで,高度・複合型技術・技能に対応できる人材育成を目指しています。生産技術科のカリキュラムは,機械設計・製図・加工・計測・制御・電気・電子・情報・生産システムを主とした構成となっており,理論だけでなく実験・実習を取り入れながら,確かな技術・技能を身に付けるとともに,「ものづくり」の楽しさを実体験することを目的としています。 特に,実験・実習では,基礎を重視した作業感覚を「体感」することにより,ものづくりの実際と課題とをつなぎ合わせる問題解決志向型の教科内容としていることから,各種先端機器による訓練のほか,CAD/CAMシステムに関する実習では,3次元CADによるモデリングからNC工作機による加工までが習得できる環境となっています。 その他,授業の空き時間や夏休みを利用して,就職に有利となる普通旋盤やフライス盤作業等の国家技能検定2・3級の合格を目指した準備学習を行うとともに,CADトレース技能審査の初級・中級取得などを推奨しています。技能と技術

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