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4.2 スカラ型ロボットの改善提案4.3 第三国研修視察図5 第三国研修の様子イコン制御を行った点である。二度目の都市,施設ということで,事前の準備は前回よりもスムーズに行うことができた。ただ,前述したCNAD側の第3期の第三国研修の準備で,CNAD技術部長が,中南米各国を訪問していたため,渡航前のCNADとの業務打ち合わせは,全くといっていいほど行えなかった。 今回行った業務内容を具体的に記す。まず,スカラ型ロボットの改善提案であるが,前回は機械的な部分の改善を機械系C/Pと共に行った。そこで,今回は,制御部に的を絞り制御系C/Pに改善提案を行った。前述したとおり,第三国研修の応用ロボット工学コースは,今年で5回目の開催となる。コースで使用しているスカラ型ロボットの課題も毎年少しずつ改良を行っているようで,実際,昨年から製作しているロボットには,一昨年筆者が行った機械的改善提案もきちんと受け入れ,改善がなされていた。今回製作しているロボットは,5年目の課題ということで,課題としてほぼ完成形となっているであろうと想像をしていた。機械的な完成度は,私の目から見る限りでは,問題点を克服しほぼ完成形となっていた。しかし制御分野に関しては,使用している減速機付きDCサーボモータの減速機のバックラッシュを全く考慮せずに(モータの出力軸にエンコーダが付いたタイプであるため,ギヤヘッドの出力軸を直接監視することができない)。一生懸命制御を行っているという,少々お粗末な状況であった。具体的には,ロボットにペンを持たせ,円を描くようにプログラミングを行っても,紙の上に出力結果として描かれる円は,円には程遠い歪な形状であった。さらに,同じプログラムで別のロボットを動作させると,紙に描かれる出力結果も違ってきた。そこで,現在行っているPID制御のパラメータにバックラッシュ量も入れるよう提案を行った。もしくは,ソフトウェアでの補間が難しいのであれば,エンコーダの位置を機械的に移動させるよう提案を行った。ただし,今年度はすでに走っているコースであるので,そこに新たなことを付加するのは難しいとのことであったので,次年度以降の改善1/2010として受け入れてもらった。 第三国研修の視察およびコース改善提案では,まず第三国研修に参加している各国の研修生の皆さんの声を直接聞かせてもらった。その中で,コース内容に関する不具合や,コースに参加しての不満が,何点か声として聞かせてもらうことができた。しかし,それ以上に満足や感謝の声が非常に多くあったことをまず記しておく。不満点として聞こえてきた内容は,以下のとおりである。 ・わずか8週間でロボットの設計,製作,制御を行うので,どの分野も触りの部分をなぞるだけの内容となってしまっている。 ・現状のMatlab,Simulinkを使用するロボット制御は,制御工学を専門としていない方々にとっては難解すぎる。 ・MatlabやSimulink,DSPボードを用いた制御方法は有益であるが,それらを取得しても,自国に機材がないので生かすことができない(機材が高すぎて購入することができない)。 ・もう少し長い期間をかけて,それぞれの分野についてもっと深い部分まで研修を受講したいが,職場を留守にできるのは,2ヵ月が限界である。 ・時間の制約があるので仕方ないが,ロボットのすべての部品を作りたかった(現状は数点の部品のみを作り,残りの部品は過去のものを使い回している)。 ・製作したロボットの一部(例えば1軸のみ)で43

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