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3.2007年短期派遣での業務3.1 渡航前準備3.2 業務打ち合わせ図2 第三国研修生との顔合わせ苦手とする分野をフォローしながら,課題に取り組んでいた。 第2期の「応用ロボット工学」コースは,今年が5年目となるので,今年で終了となる。そのため,CNADでは,現在,第3期の第三国研修の準備として,中南米諸国を巡って,各国にどのようなニーズがあるのか,また,どのような研修体系だと受講しやすいのか等の情報収集を行っているところである。 筆者にとって,初めての海外派遣であった。当時はこんなものなのかなと思っていた準備期間も,今思い返してみると非常に慌ただしいものであったようである。派遣決定から,実際にメキシコの地に降り立つまで,実質1ヵ月しかなく,その間に行うことのできた準備といえば,CNADの技術部長と何度か電子メールで打ち合わせしたくらいである。技術部長との打ち合わせの中で見えてきたCNAD側のリクエストは,CNADで行っている第三国研修で製作しているスカラ型ロボットの教材に対して,より性能が上がるよう改善提案を行ってほしいというものであった。メールのやりとりでなんとかロボットについての具体的な情報を引き出そうと試みたが,得られたものは,スカラ型ロボットの3次元分解図と,サーボ回路の配線図のみであった。海外には,それまで何度か旅行で行った経験はあったので,メキシコでの生活には全く不安はなかったのだが,この事前の準備をしようがない状況で,とにかく来て改善提案を行ってほしいというリクエストに対して,かなりの不安を抱えた出発となった。また,この派遣では,お互いに英語ができるから,通訳は必要ないであろうとのJICAの判断であったが,これも少々の不安要素であった。案の定,後になってこれが一番大変なこととなった。 CNADに到着し,施設長を始め,いろいろな方とあいさつをし,その後,技術部長と滞在中の業務について打ち合わせを行ったのだが,ここで前記の言1/2010葉の不安要素が現実のものとなった。英語が聞き取れないのである。私の知っている英語とは違う発音の英語がたくさん出てくるのである。しかも文章の要となる重要な単語が聞き取れない。俗に言うスパングリッシュであった。当然スパングリッシュ対ジャパングリッシュでは,細かな意思の疎通ができるはずもなく,初日からとても苦戦をした。幸いにもCNADの講師の1人が日本人女性と結婚をしていたので,その講師の奥さんが後日通訳を行ってくれることとなった。通訳を交えて打ち合わせを行ってみると,3週間の間に三連休があったり,第三国研修の修了式があったりで,実際に技術移転に充てることのできる日数は実質10日間しかないことがわかった。わずかな日数であるにもかかわらず,CNAD側のリクエストは膨大なものであった。管理部,機械系,制御系の講師陣がそれぞれ別なことを教えてくれと要求してきた。まず,膨大なリクエストに対して,きちんと的を絞る必要があったため,派遣中に行う内容を, 1.当初の予定どおり,スカラ型ロボットに対し 2.第三国研修生ならびにCNAD講師に対して,筆者が日本で取り組んでいる学生の総合制作実習のロボット製作についてプレゼンテーションを行う。 3.第三国研修の視察の3点に絞った。 2項のプレゼンテーションは,赴任後の打ち合わせで初めて決まったことであったので,まず,機械系のC/Pにスカラ型ロボットの改善に取り組み可能ての機械的な改善提案を行う。41

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