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5.キャラクターを守るために4.2 第一公表年月日の登録4.3 文化庁著作権課の対応図3 中国で見かけた模倣品の例5.1 キャラクター商品の模倣 こうしたオリジナルキャラクターにはある特徴がある。①商品展開が幅広くできるケースが多いこと,②商品そのものがキャラクターの世界観づくりに貢献できるということ,③「癒しブーム」の火付け役であること,④幅広い年代層へ受け入れられる可能性が高いこと,⑤商品の売れ行きは店舗展開がカギということ,⑥キャラクターグッズが拡販手段であることがあげられる。しかし,⑦商品を多展開するに当たり,稀少性が失われる恐れがあるため,⑧一定市場を確立させるのは難しいという弱点もあげられる(9)。 第一公表年月日の登録とは,著作物が最初に発行され,または公表された年月日の登録を行う制度である。効果として,反証がない限り,登録されている日に当該著作物が第一発行または第一公表されたものと推定される。申請できる者は著作権者,無名または変名の著作物の発行者である。 第一発行(公表)年月日登録の申請についての留意事項について,登録ができるか確認し,①第一発行(公表)年月日登録申請書,②著作物の明細書,③第一発行(公表)年月日を証明する資料,④収入印紙3,000円を揃え,文化庁著作権課に提出することになっている。 文化庁での権利取得については,登録の際に必要な書類の書き方も丁寧に指導が行われ,スムーズに登録手続きをすることができた。現在,著作権について研究中であることを述べると,より親身になっ1/2010て質問に答えてくれた。 申請から約1ヵ月後,登録の通知が届いた。これによりはさみみは平成20年11月7日に最初に公表されたことが平成20年11月17日に法律上認定された。元来著作権とは登録をしなくても発生する権利であるが,登録制度が存在する理由として,創作日などの事実関係の容易な証明となることや著作権が移転した場合の取引での安全確保になる。 オリジナルキャラクターを自分自身で出願してみて,意外と簡単に登録ができるのに驚いた。日本ではともかく,同じ先願主義をとる中国の事例にあるように(8),早い者勝ちで登録した模倣品が逆に真正品として法律上認められてしまう危険性が高いことを感じた。 ビジネスチャンスが大いに期待されるキャラクター商品は,一方で模倣品の流通により,その利益が失われている事実を見逃すことはできない。キャラクター商品の模倣品の流通プロセスについて説明すると,キャラクター商品の多くが中国で製造され,中国国内や東南アジアに流れている。欧米にも出回っているが,逆に日本国内に出回ることは少なく,クレームもほとんど寄せられない。 しかし,商品によっては,日本国内で急激なブームが起こって,製造が追いつかない場合などに,その模倣品が国内市場に氾濫することがある。その場合は,国内での出来事なので,消費者からのクレームとなる。模倣品の出来栄えはそれぞれ異なり,出写真撮影(足立)37

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