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4.キャラクターの権利の取得4.1 オリジナルキャラクターの登録の意義図2 はさみみ(足立作)●中国 中国においては,製造業を中心に著しい経済成長をみせる過程で,著作権侵害や商標権侵害等の知的財産権侵害が多発し,国際的に問題となっている。近年では,2001年の世界貿易機関(WTO)加盟に伴い,対応する国内法の整備がおおむね行われるなど,知的財産権保護が強化されている。しかし,国家レベルでは知的財産権保護に積極的に取り組む姿勢が見られるものの,地方政府においては,取り締まりが十分に行われていないともいわれている。実際に,日本企業が受けた模倣被害は国別では中国におけるものが最も多く,69%もの被害を経験している。また,海賊版や模倣品についての報告書(7)でも同様に,中国における模倣被害の深刻さが明らかにされている。背景には,中国は富裕層と一般市民との格差が大きく一般市民には正規品の値段は高すぎるので安い模造品が好まれているというものがある(8)。●日本 1996年12月に,「21世紀の知的財産権を考える懇談会」が,特許庁で開催された。これは,米国の国家戦略としてのプロパテント政策の推進等,近年の急激な環境変化に対して,21世紀に向けた日本の知的財産権のあり方を明らかにする目的で開かれたものである。2001年10月から,経済産業省において,「産業競争力と知的財産を考える研究会」が開催され,2002年11月には知的財産基本法が,また2005年には「知的財産高等裁判所」が設立されるなど,知なり,レーガン共和政権は知的財産権の保護強化を明確に打ち出した。1990年代後半になると,米国の財政赤字は大幅に減少し,逆に大幅な黒字に転じた。以来,自国が優位に立っている先端技術を中心とし,知的財産により貿易・国際収支のアンバランスを解消しようと,世界各国に攻勢をかけている。また知的財産に関する訴訟攻勢も激しくなっており,外国企業,特に日本企業に対し,米国の特許権による巨額賠償請求裁判の格好のターゲットとされたこともある(6)。36的財産に高い関心が寄せられている。 知的財産への理解をより深めるため,実際にオリジナルキャラクターを作成することで権利を取得する手続きを行うことにした。足立がかつて創作した「はさみみ」というキャラクターを用い,キャラクターの知的財産において最も重要視されている,著作権の中の第一発行年月日登録を実際に行った。今回デザインした「はさみみ」(図2)とは,スポンジに洗濯ばさみを付けるという発想から生まれ,それをウサギのようにアレンジしてキャラクター化したものである。 オリジナルキャラクターを登録するため,文化庁に出願することにした。出願し申請が受理されれば,法律的に著作権の権利が認められ,創作者の表現が保証される。なぜ,このように著作権を取得しておく必要があるのかというと,オリジナルキャラクターがビジネス展開によって商標化され,ヒットした場合の権利や模倣品から受ける被害から守るための権利書になり,自分の著作であることの立証が容易であるからである。他に立証の方法がないわけではないが,時間的にも金銭的にも負担が大きくなる。技能と技術

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