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2.踏力の測定システムの概要1.はじめにポリテクセンター名古屋港伊藤  徹図1 天井クレーンの構造 天井クレーン操作の訓練において,特に初期段階では操作不慣れのため荷を大きく振らせてしまうことが多い。こうした荷振れは,作業能率の低下を起こすばかりでなく,クレーン本体やワイヤロープに過大な負荷を与えるとともに荷崩れや周辺器物への衝突破損など大きな損害を与える事態をまねく可能性がある。 荷振れは,ガーダを走行レールに沿って動かす走行時とトロリを横行レールに沿っての横行時における減速および停止動作の際に発生する。このためブレーキ操作が重要な訓練課題となる。走行のブレーキは,自動車に用いられている油圧ブレーキと同様に足踏式で油圧によりパッドをブレーキディスクに押し付け止める構造になっている。 訓練の初期段階では,ブレーキ操作による荷振れをつくらない操作を繰り返し訓練し習得する。これまで天井クレーンに同乗する指導員が訓練生の操作を見て口頭で指導する方法で実施してきたが,なかなか思いどおりに伝達することが難しい。訓練生がどのようなブレーキ操作をしているのか測定しリアルタイムでグラフ表示することができれば,表示に基づき指導をすることで操作の問題点の認識を深めることができ,より効果的な訓練を進めることができると考える。22 本報では,これらの考えをもとに踏力を測定するシステムを構築したのでその内容について述べる。 図2に,踏力の測定システムの構成を示す。運転席のブレーキペダルに踏力計(形式LP-50KB 株式会社 共和電業)を取り付ける。踏力計からは,踏力に比例したアナログ電圧が出力され,ADコンバータとシリアル変換回路を持つインターフェース回路を介してシリアル通信によりパーソナルコンピュータ(以下,PCと略す)に取り込まれる。なお,測定および測定データの処理にはVisualBasic(以下,VBと略す)を用いて行った。サンプリングは,PCからインターフェース回路に取得信号を100msごとに送信して行う。ここでは15秒間踏力データを取得した。取得したデータは,VBで作成した画面上のフォームにリアルタイムでグラフ表示される。技能と技術―天井クレーン運転操作の技能向上支援を目的として― 教材開発走行ブレーキ操作の踏力測定システムの開発

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