4/2009
3/44

111.はじめに2.「高木生産準備支援システム」その開発プ 当社は自動車用小物プレス部品の製造会社である。国内での年商約300億円,従業員数670人,製品はほぼ掌サイズ,生産品種9,000品番,設立順に,インドネシア/ジャカルタ,USA/オハイオ,テキサス,中国/広州,カナダ/オンタリオに合計5つの海外生産拠点を持つ。 主要な顧客はトヨタ自動車およびトヨタ系各社で,売上の94パーセントを占める。そのため,自動車産業が当面する「開発短納期」「コストダウン」「グローバル展開」の余波を避けては通れない。 当社にとっては開発短納期=金型短納期であり,コストダウン=高効率金型づくり,グローバル展開=金型のグローバル供給である。したがって,キーワードは『金型』で,金型のそれら課題を解決するシステムを実現することが大変重要だと考えている。 今回,前述課題を解決するため「技能と技術の融合」を図ることで「高木生産準備支援システム」を完成させたので,その開発プロセスと運用状況を報告させていただく。 「高木生産準備支援システム」の運用は当然「人」が行う。システムとは構築完了した時点から陳腐化し,運用を重ねることでマンネリ化し,そこで働く「人」にある種の知能障害を引き起こす。 この弊害を未然に防止するためには,従業員1人ひとりがやりがいを持って,システムを道具として活用し,更には環境の変化に対応すべく,継続的に4/2009道具の進化をはかる能力開発がポイントである。そのような能力を持つ集団を作るには,事業目的に合致した「社内手づくり人材共育*1」が不可欠である。 今なお未曾有の自動車不況に見舞われている今日,この状況を逆手に取れば,金だけは無いが「共育のための時間と人材には不自由なし」の千載一遇のチャンスととらえることができる。 トップの発案で昨年初旬,収益も順調であった時点で,社外機関による従業員のオピニオンサーベイを実施した。その結果に基き,’08年10月末には手づくりの高木共育プログラムを策定完了させることができた。本年初から,いよいよ共育プログラムの運用を開始した。 今回は共育プログラム立案のプロセス,および運用状況などを合わせ報告させていただく。 自動車のボデーを構成するプレス部品は600~表1 ボデー構成プレス部品分類点数開発主な部品名ト・ドアポ・クロスメンバート・クランプ順序工程90最初定型的1802番360最後非定型的株式会社高木製作所 常務取締役板倉 幸雄大物・ルーフパネル・ボンネッ中物・センターピラー・ラジサ小物・リンフォース・ブラケッロセスと運用状況2.1 自動車用小物プレス部品の性格企業における技能と技術の融合と人材育成について 特集小物プレス業における技能と技術の融合と社内手づくり人材共育活動の事例報告

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る