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4.産学官連携の共同研究3.事業主支援の強化の中で当時唯一の専門課程電気技術科,ホテルビジネス科が新設された。 さらに,2002年に第4次沖縄振興開発計画に基づき,応用課程生産情報システム技術科も新設された2)。これにより,現在,沖縄能開大は専門課程7科と応用課程2科の体制となっている。 これまでに,企業に送り出した卒業生は全部で専門課程が2,292名,応用課程が277名である。卒業生は県内の他の大学と異なり,毎年7割以上が県内の各分野の中小企業に就職し,沖縄地域の産業振興に大きく貢献しており,県内の産業界から高い評価を受けている。 現在,屋良秀夫校長と岡本明憲副校長が陣頭指揮を執って,人材育成を柱とした産学連携を着実に推進しながら,さらに地域に密着した大学校を目指している。次に,沖縄能開大が取り組んでいる主な事業内容について紹介する。 沖縄能開大は設立当初から事業主への支援を重要な業務と位置づけていたことから,沖縄県工業連合会,沖縄県電気工事業工業組合等40団体近くの事業主団体とタイアップして,ものづくりを中心とする工業系の在職者訓練を行ってきた。 1997年,厳しい雇用情勢や財政依存の高い経済構造等課題の改善を図るため,沖縄県は「マルチメディア・アイランド構想」を打ち出した。この「マルチメディア・アイランド構想」とは,沖縄県での情報基盤整備と多様な人材育成により,県内での情報通信分野就業者数を1997年の0.6万人から2010年に2.45万人まで引き上げる計画であった4)。「第3次沖縄県情報通信振興計画の概要」5)によると,2006年までに県外からの誘致企業数はすでに120社に上り,雇用者数は11,379人となっている。沖縄能開大関連学科の卒業生の大半がそれらの企業に就職し,人材育成の分野で大きな役割を果たしている。 また,「マルチメディア・アイランド構想」の実現に向け,沖縄IT人材育成協議会(ITOP)が主催する在職者向け研修「ITプロフェッショナル人材育成講座」の実施においても,沖縄能開大が協力施設として重要な役割を果たしており,2008年には8コースの講座を実施した。 2008年10月には,沖縄県は沖縄特別自由貿易地域で,国内外の情報通信産業の一大拠点の形成を目指すビッグプロジェクト「沖縄IT津梁パーク」の整備を始めた。このプロジェクトでは,2010年度までに2棟の中核支援施設と13棟の民間施設が建設される予定で,県外から200社の企業を誘致し,8,000人の新規雇用が創出される見込みとなっている6)。沖縄特別自由貿易地域に最も近く,実践技術者の育成で多くの実績を上げている沖縄能開大は沖縄県からIT人材育成機関として大きく期待されている。 沖縄能開大では,産学官連携の共同研究も重要な業務として推進している。特に,応用課程生産機械システム技術科が新設(1999年)されてから,開発課題テーマの半数以上は企業から提供されたものであり,県内企業の新製品開発をサポートしている。これまで,「ライン同期型パイプ穴あけ装置」(写真3),「鶏卵自動販売機」(写真4),「絶縁紙自動切断システム」および「エレベータ保守業務支援システム」等の製品開発を企業との共同研究にて行い,企業に提供された。41写真2 沖縄能開大の航空写真3/2009

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