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4.短期専門家の業務は大学等の高等教育を実施する環境が十分ではなく,可能性のある若者が必要な技術を身につけずに社会に輩出されていることに起因すると考えられている。 職業教育訓練は職業技術訓練省の傘下で運営されているものの,そのカリキュラム,教材や機材,運営管理,資格制度などが体系的に整備されていない状況で,特に高度技能者や実践技術者の養成が十分でない。 近年ようやく職業能力に基づいた訓練の実施を目指し,国家技能基準や国家職業資格(NVQ:レベル1~7)制度を導入しつつあり,今般,技術教育訓練局所管の技術学校36校のうち,各州代表1校を技術短大に格上げし高度技術者(NVQレベル:5~6)の養成を行うこととした。日本の協力で実施される本プロジェクトはコロンボの中心にあるマラダナ技術学校をサイトとして立ち上げられた。 スリランカの技術教育訓練局がJSCoTプロジェクトを高度技術者養成のモデルコースとして位置づけ,その過程で得る運営管理・技術能力を各州に設立する技術短大に適用することを目標とし,具体的には次の活動を行うこととしている。活動1 情報通信,メカトロニクスおよび金属加工の3分野でNVQレベル5,6(ディプロマレベル)の訓練コースを導入・運営する。活動2 技術教育訓練局において産業界のニーズを訓練に反映させる体制を確立する。活動3 技術教育訓練局の訓練コース運営・管理能力を向上させる。活動4 JSCoTにおいて蓄積されたノウハウを他の訓練施設で共有する。 本プロジェクトは現在(2008年1月),2年半経過している。その間,スリランカ側のカリキュラム承認の遅れ,実習場工事の遅延,さらに日本サイドの機材調達予算の絡みで当初計画からの遅れが生じている。しかしながら,情報通信科と金属加工科については計画どおり,2007年1月に1期生が入学し,軌道に乗りつつある。メカトロニクス科については32早い時期での開校が予定され,現在,機材の調達,実習場の整備,スリランカ側指導員の研修と徐々に環境を整えている。 2007年8月,JSCoTの開校式がスリランカ側から職業技術訓練大臣,日本側から多賀参事官の出席のもとに行われた。スリランカで初めての技術短大「日本・スリランカ技術短大」がスリランカ国内に公開されその一歩を踏み出した。 JICAが行うODA(政府開発援助)ベースの技術協力の一環として派遣される専門家はプロジェクト専門家と個別案件専門家に分けられる。 プロジェクト専門家とは,今回のJSCoTのように途上国に技術短大を設立するといった一定の成果を一定の期間までに達成することを目的とするプロジェクトに関与する専門家で,個別案件専門家とはそれ以外の総称である。長期/短期はその派遣期間が1年を超えるかどうかで分けられている。 プロジェクトの投入要素は一般に①専門家の派技能と技術3.2 プロジェクトの目標3.3 プロジェクト活動の現状4.1 専門家の役割図6 開校式でのセレモニー(キャンディダンス)図5 JSCoT情報通信科の授業

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