3/2009
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1.はじめに2.スリランカ/コロンボ 現在,スリランカに対する日本のODA(政府開発援助)として,JICA(国際協力機構)はコロンボ市内のマラダナ技術学校を技術短大に昇格させる日本-スリランカ技術短大(Japan-SrilankaCollegeofTechnology:以下JSCoTで表記)プロジェクトを実施している。2005年7月にスタートした5年計画の本プロジェクトは設立3科のうち金属加工科,情報通信科は1期生が入校し訓練が開始されている(2008年1月)。残りのメカトロニクス科については早い時期の開校を目指している。 本稿では,メカトロニクス科の開校支援業務にJICA短期派遣専門家として携わった概要を報告するとともに,専門家の業務内容を紹介し,併せてスリランカの実情についても述べたい。 インドが産み落とした卵のような小さな島国,スリランカ。現地のシンハラ語で「光輝く島」という意味らしい。国土は日本の北海道の約8割,人口は1,900万人。民族はシンハラ人(仏教徒:73%)とタミール人(ヒンズー教徒:18%),ムーア人(イスラム教徒:8%)で構成される多民族社会主義国家である。 スリランカといえば,以前の国名を冠する「セイロン紅茶」や戦後いち早く組織された開発途上国のための国際機関「コロンボプラン」などが有名である。また最近では2004年のスマトラ島沖大地震の津30波による大きな被害,長期にわたるLTTE(タミールイーラム解放の虎:タミール人過激派)との民族紛争激化などが話題にあがっている。 アジアとヨーロッパを結ぶ海上輸送の中継地として発展してきたコロンボは現在も人口200万人を超えるスリランカ最大の都市である。コロニアルな街並みはエキゾチックな雰囲気と同時にスリランカがかつてポルトガル,オランダ,イギリスの植民地であったことを今に残している。技能と技術北陸職業能力開発大学校北川  隆図1 JSCoTの母体 マラダナ技術学校2.1 スリランカとは図2 コロンボの中心街スリランカJSCoTへの技術協力-JICA短期派遣専門家として-

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