2021年4号「技能と技術」誌306号
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島根職業能力開発短期大学校 竹口 浩司新型コロナウイルスが世界をせっかんし,われわれの生活も変化を余儀なくされ,およそ2年の月日が流れようとしている。その変化は,オンラインによる在宅ワークの推進や巣ごもり需要,会食の制限等多岐にわたる。一連の変化において,住宅需要にも変化をもたらしている。日本では,新型コロナウイルス拡大以前から住宅着工数が伸びており,2020年8月にピークをむかえた。しかし,その後は下げ止まっている状況である。(表1)この要因の一つがウッドショックである。住宅需要の伸びは日本だけでなく,米国等においても住宅の着工数が伸びている。そのため米国等で木材の大量供給が始まった。それにより,日本に対する木材の供給量が減り,日本における住宅着工数が8月を境に急激に落ち込みだした。これがウッドショックである。これを期に注目されているのが日本林業の復権である。表1 新築戸建住宅売買業指数の推移1)-1-2021年5月開催された第71回全国植樹祭しまね20212)(以下:大会)は,新型コロナウイルス感染拡大と日本の林業を取り巻く問題を考えさせられる大会となった。本大会に向けて県内外の機運醸成をはかるため,島根職業能力開発短期大学校(以下当校)住居環境科の2年間にわたる取り組みを報告する。全国植樹祭とは,豊かな国土の基盤である森林・緑に対する国民的理解を深めるため,公益社団法人国土緑化推進機構と開催都道府県の共催によって,昭和25年から毎年春季に開催される国土緑化運動の中心的な行事であり,天皇陛下もご臨席される大会である。島根県では,2020年5月に第71回全国植樹祭しまねが開催される予定であった。大会に向けて2019年,島根県農林水産部林業課から全国植樹祭しまねの開催に向けて機運醸成をはかるため,開催までの日数を示すカウントダウンボードと大会当日に参加者を出迎え,記念写真を撮影する場としてウエルカムボードの制作依頼の話を頂き,共同研究としてデザインから制作までを住居環境科で取り組むことになった。その後,2020年冬季から日本においても新型コロナウイルス感染拡大によりオリンピックも含め多くのイベントが中止や延期となり,本大会も1年延期されることになった。それにより,この取り組みも1年の延長を余儀なくされた。1.はじめに2.概要第71回全国植樹祭しまね2021実践報告

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