2021年4号「技能と技術」誌306号
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図5 作業内容と平均心拍-変動係数の分布図6 作業の難易度と平均心拍-変動係数の分布作業が進むにつれて心拍が徐々に減少していくもので,パターンⅡは作業中瞬時心拍の上昇が継続するパターンで,評価値が高いほどパターンⅡを示す傾向にある。両者のパターンの違いは,作業の慣れに起因すると言える。心拍は,作業の負担度を評価する方法として古くから利用され,定性的には作業の難易度とほぼ比例して変化する。また,作業の困難度が高い場合には作業中高い心拍を維持し変動が小さいのに対し,作業に慣れてくると,作業の初期段階では高い心-15-拍を示すが,次第に減少していくと言われ(13),難易度が4と5の作業の間で変動係数のバラツキに差が生じたのは,作業の慣れによる瞬時心拍の変化が原因と考えられる。作業中の平均心拍と変動係数の分布に加えて,一回一回の作業における瞬時心拍の変化のパターンも併せて評価の指標とすると,作業者の技能レベルの変化をより正確に評価でき,これらの技法を援用することで,技能習得の速度を高める訓練プログラムの設計等に役立てることができる。

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