図2 全作業を通しての瞬時心拍変化図3 作業内容と平均心拍の関係じる作業では緊張度が高まることが分かる。他方,難易度の評価値と平均心拍のバラツキの関係に着目すると,評価値が1の「易しい」と感じる作業ではバラツキが非常に大きく,逆に評価値が5の「難しい」と感じる作業ではバラツキが最も小さくなっている。図4は,作業A~Fにおける作業難易度の評価値と各作業における瞬時心拍の変動係数との関係を作業者別にまとめたものである。変動係数とは,各作業における瞬時心拍の分布から瞬時心拍の標準偏差を求め,標準偏差/平均心拍,として定義される。古谷野によると(9),簡単な事務作業においては,単純な計算作業と計算と分類を並行して行う複合作業が性質が異なる作業であることを見分けるには,-13-平均心拍より変動係数が優れ,複合作業や要約作業では単純作業に比べて変動係数が大きくなるとしている。本研究において,難易度の評価値と変動係数の間には明確な相関は見られないが,評価値が5と「難しい」と感じる作業では変動係数のばらつきはほとんどなく,変動係数自体も0.02程度と小さな値となっている。また,評価値が4の作業でも同様の傾向が見られる。評価値が4および5の作業は,いずれもアルミ板に穴をあけるという技能作業で,古谷野らの事務作業の場合とは異なり,技能作業では難易度が高いほど変動係数が小さくなる傾向にあった。
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