「悪目立ちしたくない」等の困り感を持つ特支者と持たない障害者がグループワークを行った場合について,指導の配慮のあり方について説明していきます。2.3 アクティブ・ラーニングアクティブ・ラーニングとは2012年8月28日の文部科学省中央教育審議会の答申で,「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ~」により示されたもので,引用すると『個々の学生の認知的,倫理的,社会的能力を引き出し,それを鍛えるディスカッションやディベートといった双方向の講義,演習,実験,実習や実技等を中心とした授業への転換によって,学生の主体的な学修を促す質の高い学士課程教育を進めることが求められる。学生は主体的な学修の体験を重ねてこそ,生涯学び続ける力を修得できるのである。』1)としています。アクティブ・ラーニングの目標を達成するために,訓練生に自律的に行動する力を与えること,自律性を促し,これを支援することととらえ,具体的な指示や解決策を訓練生に与えるのではなく,テーマを与えそれに沿って訓練生自身が問題点を発見したり,不足する能力を開発したりする環境を整えることができれば,特支者への訓練として有用性があるのではないかと考えました。ただし,注意として,アクティブ・ラーニングとはともすると,他の訓練生と比べて特支者が能動的に活躍することができず,置き去りになったり,焦りから思い込みをしてしまったり,コミュニケーションがうまくかみ合わなかったりすることが予想できました。これより,能力差が出てグループの動きに統一性や一貫性がなくなり,グループの目標を実現できなくなる可能性があるため,特支者の能力や特性を見極め,適切な訓練をデザインすることが不可欠と考えました。2.4 合理的配慮教育場面での合理的配慮として,文部科学省の中央教育審議会の「特別支援教育の在り方に関する特-4-別委員会(第3回)配付資料」では,「合理的配慮」の例として以下のようなものが挙げられています。『1.共通・バリアフリー・ユニバーサルデザインの観点を踏まえた障害の状態に応じた適切な施設整備・障害の状態に応じた身体活動スペースや遊具・運動器具等の確保・障害の状態に応じた専門性を有する教員等の配・移動や日常生活の介助及び学習面を支援する人材の配置・障害の状態を踏まえた指導の方法等について指導・助言する理学療法士,作業療法士,言語聴覚士及び心理学の専門家等の確保・点字,手話,デジタル教材等のコミュニケーション手段を確保・一人一人の状態に応じた教材等の確保(デジタル教材,ICT機器等の利用)・障害の状態に応じた教科における配慮(例えば,視覚障害の図工・美術,聴覚障害の音楽,肢体不自由の体育等) ~中略~8.情緒障害・個別学習や情緒安定のための小部屋等の確保・対人関係の状態に対する配慮(選択性かん黙や自信喪失などにより人前では話せない場合など)9.LD,ADHD,自閉症等の発達障害・個別指導のためのコンピュータ,デジタル教材,小部屋等の確保・クールダウンするための小部屋等の確保・口頭による指導だけでなく,板書,メモ等による情報掲示』2)となっています。一方で,訓練の目的である就労を考えると,実現困難度など『過重な負担』3)となる場合は合理的配慮から除くという考えがあるため,合理的配慮の部分と,特支者の障害特性や困り感に合わせておこなわれる「過重な負担」とならない「配慮」が必要と思われます。グループワークを実施する場合,予想される困り置
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