表1 競技課題の変遷図1 第54回大会「競技Ⅰ」課題上の組立て技能を有していると判断できるからである。さらに,競技で使用する電子機器類,ソフトウェアなどについては,適宜見直しを行っている。2.2 競技課題現在,「電子機器組立て」職種の競技は,2日間にわたって実施され,総競技時間は9時間30分である。課題はすべて競技当日の公開であり,競技前に1時間の競技課題の説明を受けた後,仕様書にしたがって課題に取り組む。各課題に費やす時間の見積りは選手に任されている。競技1日目に実施される「競技Ⅰ」の競技時間は,7時間である。「競技Ⅰ」は「ものづくりプロジェクト」と称し,電子機器の設計から製作,動作確認に至る,ものづくりの一連の流れに必要な技能を競う内容である。「ものづくりプロジェクト」の競技課題の詳細は,以下のとおりである。(1)回路設計課題:与えられた仕様に基づいて電子回路を設計する。回路設計は,競技当日に提供される資料,およびデータシートを参考にして行う。(2)回路図作成課題:電子CADを用いて,回路設計課題で設計した電子回路の回路図を作成する。(3)基板設計課題:電子CADを用いて,回路設計-28-課題で設計した電子回路を製作する際に必要となる基板の設計を行う。(4)組立て課題:回路設計課題で設計した電子回路をユニバーサル基板上に部品を実装し,すずめっき軟銅線を用いたストラップ配線で組み立てる。さらに,専用のプリント配線板への部品実装や筐体の組み立てを行う場合もある。(5)プログラム設計課題:電子機器に搭載されたマイクロプロセッサのプログラムを設計,記述,実装し,電子機器の制御を行う。プログラムは,C言語で記述する。(6)測定課題:製作した回路が正常に動作していることを測定によって確認し,その結果について報告する。課題例として,2016年第54回大会の「競技Ⅰ」の課題を図1に示す。特定の方向からの音を強く受信できる指向性マイクロフォンの設計・試作,組立てを課題としている。写真奥は,三つのマイクロフォンが搭載されたマイクロフォンボードであり,専用基板を用いた組立て課題である。写真右のユニバーサル基板回路は回路設計課題で設計し,組み立てたマイクロフォン指向性制御回路である。専用基板の三つのマイクロフォンの振幅・位相を制御する電子回路で構成されている。写真左の基板は,プログラム課題で使用するECOコントローラボードである。技能検定2級の実技課題である省エネコントローラの動作をソフトウェアで実現する課題である。競技2日目に実施される「競技Ⅱ」の競技時間は,2時間30分である。「競技Ⅱ」は,「メンテナンスプロジェクト」と称し,電子機器を保守,修理,改修
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