図6 若年者ものづくり競技大会の課題である。競技種目は14種類あり、電子情報関連では電子回路組立て職種がある。電子回路組立て職種では、はんだ付けを含む組立てや、仕様どおりにLEDマトリックスなどの周辺機器を制御するプログラムの作成を、4時間以内に行なう競技になっている。平成25年度から平成27年度まで同じ組立て課題が出題され、当日公開されたプログラムの課題数は3年とも5題であった。平成25年度は拡張コネクタに接続する機器はなかったが、平成26年度は図6に示す船や宇宙船の方向転換に使用されるフライホイールが出題され、平成27年度にはジョイスティックモジュールが搭載された入力装置が出題された。大会までのスケジュールは、6月下旬に出場選手が決まり、7月上旬に仕様書等が公開され、必要な開発環境が事務局から送付される。実際にはPIC18F4620搭載の制御ボード、LEDバー搭載の外部IOチェックボード、デバッガであるPICkit3、開発ツールであるMPLABXやC18コンパイラなどや仕様書が送付される。組立て基板の練習材料は各出場校で購入する必要がある。両面のプリント基板であり、3枚だけ組み立ての練習ができる。出場者数は、毎年増加傾向にあり、平成27年度は出場者数が多くなったため、都道府県に1名のみと制限され20名の出場となった。なお、出場者は20歳という年齢制限から、実質は工業高校の学生から能力開発校の2年生までになる。-5-平成25年度から平成27年度までの入賞ラインについては、公開されている得点分布1)から判断すると100点満点中80点以上が3位以上、60点から70点台が敢闘賞となっている。入賞するには、組立てとプログラミング両方においてなるべく仕様を満たすことが重要であると考えられる。また、拡張コネクタに接続する機器を制御できるように、日ごろから様々な機器を扱うことが重要である。平成24年度は東北能開大の学生が第1位、平成25年度は秋田短大の学生が第2位、平成26年度は秋田短大の学生が第3位と敢闘賞、東北能開大の学生が敢闘賞、平成27年度は東北能開大の学生が敢闘賞と、4年連続入賞を果たしており、ここ4年では能力開発校の中では東北ブロックが最も成績が良い。電子機器組立て技術競技を1年生のときに実施している成果だと考えられる。筆者が平成26年度まで在籍していた秋田短大では、競技の内容に合わせた授業を展開していた2)。1年生の7月まで全員が技能検定3級の取得を目指して、はんだ付け等の電子機器組立ての訓練を授業内外で実施している。また、すずメッキ線の配線の訓練をマイコン基板やその周辺装置の基板の製作で実施している。そのときにマイコン制御プログラミングも実施している。はんだ付けなどの組立て基準や使用するマイコンやプログラム開発環境は競技に準じ、学生全員が競技と同じ環境で実習することで、競技へ興味がわくような仕組みを整えている。また、2年生が1年生を教える仕組みも整えている。秋田短大では入学時に2年生と1年生の交流も含めて導入教育という授業を行なっている。このときに、2年生全員が1年生に対してはんだ付けを教える時間をとった。電子機器組立て技術競技の出場者がデモンストレーションをすることで、1年後の仕上がり像が明確になる。また、2年生全員が技能検定3級を取得するとともに、日ごろからはんだ付けをしており、一定の技能を有しているため、模範となる先輩になっている。4. 秋田短大の取り組み
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