図5 荷役経路の検証図(良い例)図6 荷役経路の検証図(好ましくない例)右側が船、左はガントリークレーンです。訓練生が左側から、右側の船にコンテナの積み込みをした経路が黒い線で記録されています。赤い線は、理想の経路図です。黒の線が、赤い線の中に入っていることから、この訓練生の作業は、“適切な経路”に沿って、行われたたものであると判断できます。図6は、同じくコンテナを左側から右側の船に移動した経路が黒い線で記録されています。ただし、この場合は、赤い線で描かれた理想の経路から、逸脱していることがわかります。作業時間も記録されます。図5の良い例は、1分44秒、図6の好ましくない例では、4分36秒かかっています。-18-このように、訓練の成果として、1回の作業毎にレポートが作成されます。こうした荷役の軌跡、費やした時間の他、作業全体に要した時間(最短と最長を含む)と1時間あたりに換算した移動回数、コントロールレバーの操作回数、荷役作業中に起こした衝突の回数(コンテナとコンテナ、コンテナと部材等)が表示されます。また、模擬故障を意図的に発生させ、その対応時間を判定することもできます。着床ピンの故障、コンテナの落下等を特定のコンテナに予めシナリオ化し、その際の応答時間を判定します。このレポートによって、①訓練生の技能到達レベルを客観的に評価することができること。②オペレーターの行動特性を、その都度明らかにすることができます。さらに活用を広げていくと、これからガントリークレーン荷役作業に携わることを目指している労働者の適正を判断するデータとしての利用も考えられます。研究委員会の委員からも、入職した若年労働者等が、ガントリークレーンオペレーターとしての適性をそなえているか、シミュレータを活用して判断することはできないかとの、意見もありました。ただし、適性判断のための基準を作ることが必要ですし、さらに優れた荷役作業者のデータを収集し、「訓練生概要レポート」として蓄積する必要があります。4.1 ガントリークレーン運転研修コース「ガントリークレーン運転研修」は、クレーン運転士免許所持を条件に、ガントリークレーン初心者を対象にした研修コースです。図1にある、実機を使って訓練を行っています。運転席を改造し、研修生2名と指導員1名が搭乗できる構造とし、1回定員2名で、訓練時間は35時間(5日間)で実施してきました。訓練目標は、「1時間あたりのコンテナ取り扱い技量を、25本から30本程度。」としています。4. シミュレータ訓練を導入したガントリークレーン運転研修カリキュラムの構築
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