あん摩マッサージ指圧師などの国家資格を取得し,ヘルスキーパーや高齢者施設等の機能訓練指導員としての就労希望者に対しては,上述した教材を使用してパソコン操作として予約やカルテの管理に必要なアウトルックやエクセルなどのパソコン操作習得訓練を実施している。さらに,マッサージの臨床時間を設け、施術技術の維持向上に努めている(写真2)。 求職活動支援として,ハローワークや民間人材紹介会社との連携による求人情報の提供,応募書類作成時のアドバイス,面接試験時の同行を行っている。また,就労時においては,通勤経路や会社建物内を安全に移動するための歩行訓練を実施している。さらに職場定着支援として,就労後の個別フォローも実施している。なお,現在在職中であるが,視覚障害により業務の遂行が困難な方や企業からの相談や見学の受け入れを行っている。 就労移行支援は平成22年に事業を開始し,平成26年3月までに70名の利用があった。平均年齢は39.3歳,男性42名,女性28名であった。訓練開始時の状況は,離職者39名(55.7%),在職者22名(31.4%),その他9名(12.9%)であった。現在利用中の23名を除いた47名の訓練終了時の状況は,事務的職業への新規就職15名(32.0%),ヘルスキーパーや高齢者施設へのマッサージ師としての就職が11名(23.4%),復職11名(23.4%),その他が10名(21.2%)であった。 視覚障害に関する就労移行支援事業所は全国的に-41-1)石川充英(分担執筆分)「ロービジョンケアガイド」樋口哲夫(編),文光堂,20072)石川充英「中途視覚障害者の日常生活訓練」第1回くまもと福祉情報教育フォーラム,2010東京都視覚障害者生活支援センターULR http://www.tils.gr.jp/少なく,また視覚障害者は移動に困難をともなうことが多い。そのためセンターでは,通所で就労支援を利用することが難しい方を対象として,平成26年度中に,就労するために必要なパソコン操作習得のための訓練を在宅で受けられるプログラムを開始する予定である。 当センターは視覚障害者のリハビリテーションとして自立訓練と就労移行支援を行っている。 当センターの特徴の一つは,基本となる自立訓練から就労移行支援まで,継続した利用ができことである。二つ目の特徴としては,相談のために来所された方に対して,単独歩行や日常生活面などのアセスメントを行い,自立訓練(機能訓練)と就労移行支援のどちらを利用した方が適切なのか,アドバイスができることである。 視覚障害が要因で,日常生活に不便さや困難さを感じたら,その時点で視覚障害リハビリテーションの利用を考えることが重要である。 問い合わせは,自治体の障害福祉課,またはお近くの視覚障害者リハビリテーション施設や事業所などである。施設紹介<参考・引用文献>写真3 センター正面外観3.2 ヘルスキーパーとして就労を目指す方3.3 求職活動・職場定着支援3.4 利用実績写真2 施術技術向上マッサージルーム4.まとめ
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