3.実習の内容る部品を製作できることにならない。実際に部品を加工して測定し,つくる過程を体験・実践することによって得られる技能をわれわれは学生に付与していなかった。さらに,加工と測定の相互関連が希薄な訓練形態でもあった。 これらのことを総括し,設計・加工・測定の一体化訓練の必要性を認識し,2年次Ⅵ期に駆動テーブル製作を課題とする「機械製作実習」を実施することにした。なお,1年次には「測定実習」においてノギス,マイクロメータ,ダイヤルゲージ類による測定は履修済であり,「機械設計製図」では駆動テーブルを分解してスケッチ作業を行い,組立図や主要部品図の製図作業を履修している。 訓練や指導のポイントは,以下の通りとした。⑴ 製作図は支給とし,加工のための読図と加工手順,加工工具,加工条件を案出する。⑵ 精度加工のための寸法公差や幾何公差を考慮した加工をする。⑶ 加工部品の材料はアルミ材(A5052)であり,-29-製品を製作する意識を持って,バイス締め付けやキズ,打痕,面取りに配慮する。⑷ 加工部品の測定は公差の指示がない寸法を除く寸法,幾何公差,および表面粗さを測定する。⑸ 組立完成品の検査は指示書に基づき,静的精度検査および動的精度検査をする。⑹ グループで生産・進捗の管理をする。⑺ グループでコミュニケーションを図り,新規・個別に習得した加工や測定に関する技術・技能を班員に伝達する。⑻ 失敗を報告し共有する。⑼ ものづくりの基本である5Sと3定を徹底する。 部品と組立工具の一覧を図3に示す。ボールねじは転造で軸径15mm,リード10mmとし,シャフトは軸径20mm公差g6,ラジアル玉軸受は6000番,アンギュラ玉軸受は7000番とした。カップリングはオルダム形とし偏芯に対応する。モータはステッピングモータ(オリエンタルモータ㈱製PK268-02B)と減速機付ACスピードコントロールモータ(同社製MSD206-401に2GNタイプ減速機付)のいずれかを組み立てて使用する。実践報告3.1指導のポイントスナップリングプライヤ六角レンチセット六角穴付ボルト類①ベースプレート③シャフトホルダB⑮C形止め輪⑫ラジアル玉軸受⑩ボールねじ⑨リニアブッシュハウジング図3 テーブルの部品一覧と組立工具引掛けスパナ3.2主な部品の加工のポイントプラスチックハンマ④上板⑤モータ取付金具⑰センサ⑦センサレール⑱ステッピングモータ②シャフトホルダA⑪ベアリングカバー⑭ベアリングナット⑬アンギュラ玉軸受⑧シャフト⑥センサドグ⑯カップリング
元のページ ../index.html#31