けることにより,3年後の第9回全国大会でフライス盤職種にて初の金メダルを獲得し,国際大会では1977年に抜き型職種で金メダルを獲得している。 また,象徴的な出来事として1997年のNHKスペシャル「1000分の1mmの戦い」があげられる。技能五輪国際大会で当社の精密機器組立て職種の選手が出題された図面の間違いを指摘し,見事優勝を果したドキュメント番組が放映され,大きな話題となった。これを機に参加選手数も大幅に増加し,今でも「ものづくり」において話題に上ることがある。 全国大会において,第1回大会の参加選手は8名であったが,昨年の第51回大会ではデンソーグループ全体で30名の選手が参加している。第1回全国大会からの修了生は600人を超え,入賞者数は延べ723人,銅メダル以上の獲得者数は延べ442人で,内,金メダル獲得者が118人である。 国際大会では,デンソーとして1971年の国際大会にフライス盤職種で初めて参加して以来,デンソーグループとして94人が参加し,メダル総数は56個(海外4個を含む),内,金メダルは28個(海外3個を含む)となった。 昨年開催された第42回技能五輪国際大会には,デンソーグループから8職種に12名が参加した。 国内からは,プラスチック金型,工場電気設備,移動式ロボット,製造チームチャレンジ職種の4職種,7名が参加し,金メダル1個を含む全職種でメダルを獲得することができた(写真1)。 金メダルを獲得したプラスチック金型職種は,国際大会で初めて実施される競技であることに加え,選手はデンソー工業学園を卒業したばかりの1年目選手であり経験が少なく非常に厳しい大会であった。しかし,選手の何があっても諦めず最後までやり抜く姿勢と,デンソーの総智総力を結集し,最高の成果を上げることができた(写真2)。 海外からは,タイからCNC旋盤,インドネシアからCNCフライス盤,工場電気設備,機械製図,電工が参加し,金メダル1個,敢闘賞3個を獲得した。なかでも金メダルを獲得したタイのCNC旋盤技能と技術 2/20144.3 これまでの大会結果写真3 タイのCNC旋盤選手(中央)-24-は今回で3回連続金メダル獲得の快挙であり,デンソーグループの技能レベルの高さを実証することができた(写真3,写真4)。 写真1 デンソーJAPANの選手団 技能五輪選手は工高課程・高専課程から,やる気があり,技能五輪選手としての適性がある者を各職種において,年に1~2名を選抜している。まだ工高・高専課程に所属しているときの訓練生を「技能五輪要員」と呼んでいるが,この「技能五輪要員」を選考するときは,将来の職場の高度熟練技能者として素質のある技能者を選考する必要がある。すなわち,技能五輪の訓練は,この高度熟練技能者育成の通過点ということである。要員選考で考えることは「磨けば光る人材を選ぶ」ことが大切である。そのために「困難にも挫けないやる気」,「1つでも多くのものを吸収しようとするチャレンジ精神」,そして「適性」を見て選考している。訓練生は十人十色で,訓練すれば誰でも光るという訳ではなく選考は大変難しいものがある。 前にもふれたが,デンソーは「技能者」の育成に5.1 選手選考に向けて5.2 技能五輪選手の育成写真2 プラスチック金型選手の競技風景写真4 CNC旋盤選手の競技風景5.デンソーの技能五輪選手育成と修了生の活躍
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