コースがある。各コースではリーダーに求められる知識,技能向上,マインドの育成など,日本と同等の教育を実施している。また,授業は日本語で実施しており,帰国後は日本人とダイレクトコミュニケーションを取ることができるよう日本語能力の付与にも力を注いでいる。4.1 技能五輪について【技能五輪全国大会】 技能五輪全国大会の目的は,青年技能者に努力目標を与え,若年者に優れた技能を身近にふれる機会を提供するなど,技能の重要性,必要性をアピールし,技能尊重機運の醸成を図ることである。 第1回大会は1963年に東京で開催され,今年は愛知県で開催し第52回を数える。技能五輪全国大会に出場するには,原則的に各県で実施される県大会に参加し一定以上の成績を有した者で,年齢制限が23歳以下である。なお,一部には25歳以下の職種もある。昨年の第51回大会は千葉県の幕張メッセを中心に14会場で競技が実施され,40職種に1127名が参加した。【技能五輪国際大会】 技能五輪国際大会の目的は,参加する国・地域における職業訓練の振興と青年の国際交流・親善を図ることである。 第1回大会は1950年にスペインで開催され,現在は2年に一度開催されている。出場する選手の年齢制限は22歳以下であるが,造園等,一部では異なる職種もある。技能五輪国際大会に出場するには,原則的に技能五輪全国大会で優勝した者,また,技能五輪全国大会で実施されない一部の職種については推薦等により派遣することとしている。 昨年の第42回大会はドイツのライプツィヒで7/2~7/7にかけて開催され,競技は4日間にわたり行われた。競技職種は46職種であり,52の国・地域から参加した選手は986人であった。 -23- デンソーは,「技術」と「技能」をクルマの両輪と位置づけ,工高課程,高専課程にて「技能者」の育成に力を入れている。その上位課程に当たるのが技能五輪であり,選手は各課程の卒業生から選抜をされている。技能五輪全国大会へは,1963年の第1回大会より継続的に参加している。第1回大会には旋盤,フライス盤,機械組立て,工場電気設備,機械製図の5職種に参加し,第3回大会で抜き型,第7回大会に精密機器組立て,第12回大会に電子機器組立て,第37回大会にメカトロニクス等が参加し,現在は当社が重要と捉えている技能分野から選抜をした11職種に参加している(図4参照)。 参加職種は,職場ニーズ・環境変化に合わせて拡充・縮小を図ってきた。最近,新規に参加した職種として,製造チームチャレンジ,移動式ロボットなどがある一方で,曲げ板金,ITネットワーク等の中止をした職種もあり,デンソーが取り組む職種も変化してきている。なお,現在の国際大会では金属加工系の職種が減り,IT系の職種が多くなった。また,機械系では全国大会と国際大会での競技内容に差があり,習得技能にも違いが出てきている。例えば,全国大会の旋盤,フライス盤での習得技能は刃具研削,段取り,計測技術,加工工程作成であるが,国際大会になると設備がCNC旋盤,CNCフライス盤となり,計測技術,加工工程作成,プログラム作成能力の習得が必要となる。今後も職種ごとの実情を把握し,当社として必要な職種を選択していくことが大切だと考える。 当社が技能五輪に力を入れ出したのは,1968年からである。1963年当初は職場からの参加であったが,1968年より選手育成に向けた専任指導制度を設企業の訓練4.2 デンソー技能五輪のあゆみ図4 デンソーの参加職種4.技能五輪大会を通じた技能伝承への 取り組み
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