⑹ 2回目の企業内訓練の実施 前回の企業内訓練および補完訓練の実施結果を踏まえ,2回目の企業内訓練を行いました。作業内容は前回と同じで,実習期間は3週間としました。環境に慣れるため,また疲労を確認しながら進めるために,第1週目は午前中のみ,第2週目は8:15~15:00まで,第3週目は8:15~16:40までと徐々に時間を延ばしていくこととしました。 2回目の企業内訓練ということもあり,Bさんは事業所の環境にはすぐに慣れることができました。8時間の勤務に体力がもつかどうか心配がありましたが,施設内での補完訓練で課業後に自習訓練の時間を設けたこと,パソコンのタイマー機能を使用し休憩が取れるようになったこと,また徐々に勤務時間を延ばしたことによってフルタイム勤務に対応ができていました。 またBさんが不安に感じていた技能面について蓄積を防ぐために休憩を入れるようにしました。 技能面については,事業所が使っているソフトのバージョンと同じものを準備し,本人の感じている技能面のスキルアップを図りました。さらに事業所からテンプレートや簡単な図面を提供していただき,図面枠の設定,縮尺の設定方法などの手順書を作成しました。実際に使用している図面を繰り返し描くことで,操作方法の定着が図れました。また作業時間を計測し,作業に要した時間が短縮できていることをBさん自身が確認することで自信を付けていきました。-20-も,同じバージョンを使ったこと,事業所に近い環境で補完訓練を実施したことで前回の企業内訓練よりも順調に図面が描け,事業所からも高評価をいただきました。 最終日の午後に事業所を訪問し,事業所担当者およびBさんとともに振り返りを行いました。その結果,体力面については,勤務時間が延びても休憩が上手く取れており,企業内訓練中,体調を崩さずに毎日勤務できていたこと,技能面については思っていた以上に作業ができ,トレースのスピードも速くなっていたことが評価され,Bさんも自信を持てたことで同事業所に採用されることとなりました。 2つの事例では,企業連携職業訓練を実施することで,訓練生にとっては就職する前に事業所の雰囲気や職務内容,作業環境などを確認することができ,就労前に不安の軽減を図ることができました。また勤務時間も無理のない時間設定から始めることができ,少しずつ環境に慣れることもできていました。 事業所にとっても雇用する前に本人の特性や配慮事項など面接だけではわからなかったことが企業内訓練を実施しすることによって対応可能かどうかを判断できるため,仕事とのミスマッチを事前に防ぐことができていました。 今後ますます特別支援障害者やより重度の障害者を受け入れ,それらの方々へ訓練を行い,技能や社会性を身に付け就職へとつなげていくこと,その後長く働き続けられるような支援体制を作っていくことが当センターに求められていきます。これからも企業連携職業訓練を実施し,一人でも多くの障害者の方が就職し,その後の定着に貢献できるようにしていきたいと考えています。図8 パソコンタイマーの使用例技能と技術 2/20144.まとめ
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