2/2013
27/54

2.平成23年度の取り組み帯操作などの日常動作に合うように対象者自身がテーブルの高さをそのつど,図2のようなスイッチボックスで微調整していた。 対象者は,右前腕の筋力がないため右手を持ち上げることができない。そのため,テーブル上に置いてあるスイッチボックスを掴んで操作するためには,上半身をひねりながら右前腕(主に右手首)を荷重移動させ,図3のようにスイッチボックスに寄り添うようにし,親指または人差し指をボタンスイッチに乗せる。 当然ながら各指を動かす筋力もないため,健常者のようにスイッチボックスを右手親指と小指で抱え込むように掴むこともできない。そのため親指でボタンスイッチを押す場合,手首を支点とし上半身をひねることで右手全体の重さを親指に乗せボタンス-25-イッチを押す。 依頼を受けた当初,人差し指は,親指を除くほかの手指よりも筋力が残存し,可動範囲(机上から7[㎝])もあり押す力も残っていたが,病状は時々刻々と進行し,約2年経過した現在,既存スイッチボックスでのテーブル操作は不可能となり,将来的にボタンスイッチを押すことも困難な状況が見え隠れしている。 対象者とのヒアリングを通して,以下のような要望があった。(イ)  既存スイッチボックスの高さを低く,軽く,(ロ)  何らかの方法(情報端末による音声など)で,テーブルを上昇下降制御するシステムを作ってほしいこと (ロ)の要望は,何かの拍子にスイッチが押された際,テーブルを止めたくても止めることができない危険な体験から,情報端末の音声認識機能を利用したテーブル制御を切望しているが,一方で音声による誤認識や認識失敗時の危険性(リスク)は全くゼロにできないことも説明している。 平成23年度は,(イ)の要望に応えるため,中尾とともにスイッチボックスの筐体,ボタンスイッチ,ケーブル等をそれぞれ改良することを目的とした。 平成24年度は,(ロ)の要望に応えるため大田および吉田とともに,音声認識モジュールを利用3)した下位コントローラーを試作し,音声認識率の検証を行うこととした。 対象者および家族,病院スタッフと計7回のヒアリングを経て,図4のようなスイッチボックスを試作した。 表1は,既存スイッチボックスと改良スイッチボックスの仕様を比較している。移動しやすく改良すること。実践報告図1 上昇下降テーブル(単位[mm])図2 既存のスイッチボックス図3 対象者が既存スイッチボックスを操作する様子1.3 対象者からの要望1.4 目的

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る