2/2012
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1.はじめに2.他大学の学生サポートについて 数年前から,私の部屋にくる学生の話を聞いている。19歳から22歳までの時期は大人への移行期であり,親から自立するためのトラブルを抱える学生も少なくない。また,進路についてよく考えずなんとなく入学して,漠然とした悩みを抱える学生も増えた。 しかし,最近の学生はとても傷つきやすく自分のことをクラスメートにも話せない人が多い。そこで,学生生活を支援する学生サポートセンターの仕組みを考えたので報告したい。 提案に当たり,他大学での学生サポートの体制について調べた。 朝日新聞と河合塾の共同調査によると,クラス担任制をとっている大学は8割,カウンセラーを常駐する大学や保護者会を開催する大学は7割にのぼる。「1,2年から手厚く支援しないと学生は続かない」と欠席が増えたらすぐに声掛けをしたり,課外活動や学習室などのコミュニケーションの場をつくるなど「きめ細かな学生の支援策」を打ち出している大学は少なくない。 いくつかの大学の学生支援の取り組みを調べた(表1)。各大学とも学生生活支援とキャリア形成支援を柱にしており,障害をもつ学生の支援や健康支援を学生支援の組織に取り入れている大学も多い。 信州大学では,学務と学生相談を行う学生総合支援センターとキャリアサポートセンターのほかに,学生支援GP(文部科学省の新たな社会ニーズに対応した学生支援プログラム)を運営している。表2に学生支援GPの各部門を示す。ライフスキル支援部門やフィールド体験部門はユニークである。前者は,意思決定スキルやコミュニケーションスキルなどのライフスキルを高めるためのワークショップを行うなど,学生の自己啓発のサポートを実施している。後者は,教員が学生をサポートするだけでなく学生が学生をサポートしたり,学生が地域連携活動をするうえでのサポートを行う仕組みをつくっている。プロジェクト推進本部で4つの部門を統括し,初期ニーズの把握や全体の調整,支援のコーディネートなどを行う。 同志社大学でもS-cubeというプロジェクトで学生の自己啓発支援を行っている。なんでも相談に加え信州大学1)大阪大学2)東京工業大学3)同志社大学4)同志社大学5)学生総合支援センターキャリアサポートセンターコミュニティスペース学生生活相談学習支援部門カウンセリン運営部門進路相談キャンパスライフ支援部門障害学生支援キャリア支援部門StationCafe健康支援部門保健センター学生生活支援スポーツ支援総合相談,総合案内学生相談キャリア支援グセンターキャリアセンター障害学生支援提言表1 各大学の学生サポート職業能力開発総合大学校東京校伊東久美子-15-学生サポートセンターの提案

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