6.おわりに1/2010とができる。 ⑥物理的対策…真正品の構造を,模倣が困難な構造とするよう工夫することで模倣品製造者に模倣を諦めさせることである。例えば,商標を商品と一体的に表示したり,商品に埋め込むなどの工夫が考えられる。 なお,ホログラムシールを貼ることも有効だが,コストがかかり販売価格に影響がでるため,単価の低い玩具には実用的ではない。 ⑦組織体制…玩具の中のデザインは社外(アウトソーシング)で作っていることが多いので,商品開発を行う際に,商標,特許,実用新案を取得するという意識自体が欠けてくるので,社内的な啓豪活動が必要とされる。 その他,一般的な方法としては,相手方に警告書を発して,交渉を行うことができる。さらに,刑事告訴をすることも可能である。知的財産の各権利についての効力を知り,効果的に使用していくことがキャラクターを保護する大きな要となる。 実際に,知的財産を意識するのは,商品として世に出すかどうか,各部署で検討する会議に上がった段階からである。その場合に,他社の権利を侵害していないかという視点とともに,自社の権利を守るという視点も必要になる。商品開発を担当する段階で知的財産についての意識を高め,権利を保護しなければ,これからも模倣品が容易に製造されるだろうと考えられる。(1) 香山リカ・バンダイキャラクター研究所:『87%の日本人がキャラクターを好きな理由』学研2001,p.186(2) 土屋新太郎:『キャラクタービジネス-その構造と戦略-』キネマ旬報社1995,p.21(3) 土生哲也:『知的財産のしくみ』日本実業出版社,2007,p.14(4) 荒船良男・大石治仁:『手にとるように知的財産権がわかる本』かんき出版2007,p.18(5) 大村幸弘:『鉄を生み出した定刻ヒッタイト発掘』日本放送出版協会1981,pp.54-56(6) 寒河江孝允:『知的財産権の知識』日本経済新聞出版社2007,p.26(7) 「政府模倣品・海賊版対策総合窓口年次報告書」経済産業省及び関係省庁2002,pp.12-22(8) 田中淳:『中国ニセモノ社会事情』講談社2008,p.10(9) 陸川和男・西岡直実:『図でわかるキャラクターマーケティング』日本能率協会マネジメントセンター 2002,p.103(10)http://www.jpo.go.jp/(特許庁ホームページ)(11)http://www.meti.go.jp(経済産業省ホームページ,政府模倣品・海賊版対策窓口(漫画キャラクターの無断使用対策)) 知的財産とは人々の知的活動によって生まれた無形の財産であり,法律上の権利として認められているものである。今回,実際に文化庁に出向きオリジナルキャラクターの著作権を申請してみて,オリジナルキャラクターを始めあらゆる知的財産が保護・育成され,活用されることへの強い期待感と知的財産の保護への思いを実感することができた。 国際化が進み,知的財産がますます重要となるなかで,知的財産を常に意識し,積極的に利用することで日本経済が復活し,世界中で日本のキャラクター商品が愛されることを期待したい。39<参考文献>
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