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6.2 職業訓練についてかねて,レーザー加工機,ワイヤ放電加工機のほかに旋盤,フライス盤を使用していたが,高精度の部品を短時間で作成するために,NC旋盤やMC加工機を使った部品加工を行い,短時間での作成から試作を多数回実施するなかで,機体の形状を決定し,テクノラリーでの参加全台完走を目指したいと考えている(表5参照)。 テクノラリーに参加する目的は,競技で優秀な成績をのこすことに加え,図面や資料,Webからは読み取ることのできない他の参加者の意気込みやアイディア,加工のレベルなど,参加学生が大会参加を通じて肌で感じ,さらにこの分野における自分のレベルを実感することも目的としている。この学内の作成過程では得ることのできない学外からの刺激という点においても非常に有効であると考えられる。 またテクノラリー参加への準備(9月~11月)を行うなかで,設計制作の一連の流れを把握することができる。この把握により12月から3月の発表会までのⅢ期は,学生が主体となって,より自由な発想をもとに,習得してきた工作機械を駆使しながら,設計製作を行うことができ,改良→確認,という体験も短時間の期間で複数回に行うことができる。特に年度終盤には,各製作担当が独自のアイディアを具現化するために少なくなってきた時間を,有効にかつ自主的に作業を行う「時間のコント1/2010(1) スターリングテクノラリーホームページ(2) 数井ほか:『北陸職業能力開発大学校生産技術科・総合制作発表予稿集』,(2008),19(3) 濱口ほか:『模型スターリングエンジン』,(2000),山海堂。(4) 松尾:『スターリングエンジン製作マニュアル』,(2001),誠文堂新光社(5) 山口ほか:『スターリングエンジンの理論と設計』,(1999),山海堂(6) 古俣・古川:『千葉職業能力開発短期大学校制御技術科・総合制作発表予稿集』,(2004),23ロール」が必要とされる。このため,この間指導員と訓練生という関係で訓練を実施しているというよりも,同じ視点に立ちポイントポイントでの簡単なやりとりで,各自が状況を把握し,改善を行うというより生産現場的なスタイルで作業を行うことで,訓練生本来の自主性を養うことができる。これは非常に有意義な体験であると考えている。 なお次年度も表2に示すような流れを基本として総合制作を計画していく予定であるが,RCクラスの設計・製作に伴う,設計・加工部品点数の増加の影響を考慮して,Ⅰ期を4ヵ月から3ヵ月へ短縮し,大会参加に向けての準備期間となるⅡ期の増加を予定している。またスターリングエンジン製作における技術やポイントなどの継承のため,1年次から製作や大会へ参加する試みや,他校との交流,情報交換も積極的に実施し,更に改善したスターリングエンジンの設計・製作に取り組んでいきたいと考えている。29<参考文献>

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